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運行管理の教科書 / 第1章 貨物自動車運送事業法 / 1-17

CHAPTER 1 ── 1-17

選任数の計算
— 「30両ごとに1人」の正しい数え方

公開 2026.09.07 内容の確認日 2026.09.07 読了目安 6分
試験 頻出第1章 運行管理者

運行管理者を何人選任するか。答えは一本の式で決まります。車両数を30で割り、端数を切り捨て、1を足す。単純な式ですが、試験は「切り捨て」と「被けん引車を除く」の二か所に罠を仕掛け、実務では増車のたびにこの式が静かに答えを変えます。

SECTION 1試験ではこう問われる

式は一本、注意点は二つ

選任数 ≧ ( 車両数 ÷ 30 ) ※端数切り捨て + 1 車両数は事業用自動車の数。ただし被けん引車(トレーラの荷台側)を除く

式の意味を数直線で持ってください。29両までは1人。30両に達した瞬間に2人。59両まで2人で、60両で3人。「30両ごとに1人増える」と言葉で覚えるより、この節目の数字——29・30・59・60——を覚えるほうが、選択肢を速く切れます。

0 1人 2人 3人 〜 29両 30両 〜 59両 60両 〜 89両 29÷30=0(切捨)+1 59÷30=1(切捨)+1 60÷30=2+1 節目の数字 ── 29・30・59・60 を覚えるほうが、選択肢を速く切れます
図 1-17-1「30両ごとに1人増える」と言葉で覚えるより、数直線の節目で持つほうが確実です。
車両数(被けん引車を除く)計算必要な選任数
29両29÷30=0(切捨て)+11人以上
30両30÷30=1+12人以上
59両59÷30=1(切捨て)+12人以上
60両60÷30=2+13人以上
70両(うち被けん引車10両)60÷30=2+13人以上(10両は数えない)
KAZOERU ── 数える けん引車(トラクタ) その他の事業用自動車 KAZOENAI ── 数えない 被けん引車(トレーラの荷台側) 計算からは除く 例)70両のうち被けん引車10両 → まず10両を引いて 60両 60 ÷ 30 = 2、これに1を加えて 3人以上。計算問題はこの一手を要求してきます。
図 1-17-2計算自体は割り算一回です。落とすとすれば、この一手だけです。

試験の計算問題は、表の最終行の型がすべてです。車両数の内訳に被けん引車を混ぜ、「70両だから3人……ではなく、まず10両を引く」という一手を要求してきます。けん引車(トラクタ)は数え、被けん引車(トレーラ)は数えない。ここだけ落とさなければ、計算自体は割り算一回です。

あわせて周辺の三点も一緒に固めます。第一に、選任は営業所ごとです。車両数の少ない営業所にも運行管理者は必要で、他の営業所との兼任はできません。第二に、運行管理者を2人以上選任する営業所では、その業務を統括する統括運行管理者を選任します。第三に、選任・解任したときは遅滞なく届け出ます(1-01でも触れた「遅滞なく」の代表例です)。

根拠 ── 輸送安全規則 第18条・貨物自動車運送事業法 第18条第3項(要旨)

一般貨物自動車運送事業者は、営業所ごとに、事業用自動車(被けん引自動車を除く)の数を30で除して得た数(1未満の端数は切り捨て)に1を加えた数以上の運行管理者を選任しなければならない。運行管理者を2人以上選任する営業所にあっては、運行管理者の業務を統括する運行管理者を選任しなければならない。運行管理者を選任し、又は解任したときは、遅滞なく、その旨を国土交通大臣に届け出なければならない。

SECTION 2現場ではこう現れる

この式は、増車のたびに答えを変えます

実務でこの式が問題になるのは、開業時ではありません。5台で始めた会社が式を気にする必要はない——そう思ったまま成長し、29両から30両へ増車した瞬間に、選任数の要件が静かに2人へ変わる。1-02で「増車のたびに見る三つの連動」の一つに挙げた論点が、まさにこれです。増車の事前届出は車の話に見えて、実は人の話でもあります。

30両の壁は、届出の前に越える準備を

二人目の運行管理者は、届出用紙一枚では生まれません。資格者証を持つ人を採用するか、社内の誰かに試験を受けてもらうか(受験には基礎講習の修了等が必要です)、あるいは実務経験5年+講習5回の要件で取得するか。どの道でも数か月かかります。車両数が20台台後半に乗ったら、30両到達の前に二人目の準備を始める——顧問先の増車相談で当事務所が最初に確認するのは、車庫の収容力と並んで、この人の準備です。

選任数 確認票営業所ごとに一枚
  • ✓営業所の事業用自動車の数__両
  • ✓うち被けん引車(計算から除く)-__両
  • ✓(差引)÷30 の整数部分 +1 = 必要な選任数__人以上
  • ✓現に選任している運行管理者の数__人
  • ■2人以上のとき、統括運行管理者を選任しているか統括
  • ■選任・解任のたびに、遅滞なく届け出ているか届出

車両数が20台台後半に乗ったら、30両到達の前に二人目の準備を始める。採用も受験も、数か月かかります。

統括運行管理者は、忘れられやすい二つ目の選任です

2人体制になったとき、統括運行管理者の選任まで済ませて初めて形が整います。30両の壁を越えた会社の巡回指導で、「2人いるが統括が決まっていない」という指摘は定番です。二人目の選任届と同じタイミングで、統括の指定を社内文書と運行管理規程に落とし込んでおきます。

SECTION 3不足すると、何が起きるか

選任数の不足は、体制そのものの欠陥として扱われます

運行管理者の選任数不足は、点呼の記録漏れのような「運用の綻び」ではなく、安全管理の体制そのものが欠けている状態として、行政処分の基準上も重く位置づけられています。増車の届出時や巡回指導では、車両数と選任数の照合は必ず行われる確認事項なので、不足は発見される前提で考えるべきです。そして不足が見つかってからの採用や受験には時間がかかる——だからこそ、この式は「守る」ものではなく「先回りする」ものだと捉えてください。車両数の計画があるなら、選任数の計画も同じ紙に書いておく。それだけで、この条文で困ることはなくなります。

確認の一問一答

事業用自動車29両(被けん引車なし)の営業所においては、運行管理者を1人選任すれば足りる。○か×か。

○。29÷30=0(端数切り捨て)に1を加え、必要な選任数は1人以上です。30両に達すると2人以上になります。

事業用自動車70両(うち被けん引車10両)の営業所において必要な運行管理者の選任数は何人以上か。

3人以上です。被けん引車10両を除いた60両で計算します。60÷30=2、これに1を加えて3人以上となります。

運行管理者を2人以上選任する営業所においては、運行管理者の業務を統括する運行管理者を選任しなければならない。○か×か。

○。2人以上の選任が必要な営業所では、統括運行管理者の選任が必要です。

根拠貨物自動車運送事業法 第18条/貨物自動車運送事業輸送安全規則 第18条(選任数・統括運行管理者・届出)
確認本記事は法令および九州運輸局の公示にもとづき作成し、記載の確認日時点の制度を反映しています。個別の判断は必ずご相談ください。

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