CHAPTER 1 ── 1-02
事業計画の変更
— 認可・事前届出・事後届出の区別
営業所を移す、車を増やす、社名の表示を変える。会社が動けば事業計画も動きます。このとき手続きは三種類——認可、事前届出、事後届出——に分かれ、試験はこの三つを入れ替えて正誤を問い、実務ではこの三つを取り違えると行政処分につながります。覚え方は一行です。「場所は認可、数は事前、名前は事後」。
SECTION 1試験ではこう問われる
三区分を、変更の中身で見分ける
事業計画の変更は、原則として国土交通大臣の認可が必要です。ただし二つの例外があります。営業所ごとに配置する事業用自動車の種別ごとの数の変更は「あらかじめ」の事前届出。省令で定める軽微な事項——主たる事務所や営業所の名称など——は「遅滞なく」の事後届出。整理すると次の表になります。
| 手続き | タイミング | 代表的な変更内容 |
|---|---|---|
| 認可 | 認可を受けてから実施 | 場所と施設に関わるもの。営業所の新設・位置の変更、車庫の位置・面積の変更、休憩・睡眠施設の位置・収容能力の変更 など |
| 事前届出 | あらかじめ届け出る | 数に関わるもの。各営業所に配置する事業用自動車の種別ごとの数の変更(増車・減車) |
| 事後届出 | 遅滞なく届け出る | 名前など軽微なもの。主たる事務所の名称・位置の変更、営業所・荷扱所の名称の変更 など |
一般貨物自動車運送事業者は、事業計画の変更をしようとするときは、国土交通大臣の認可を受けなければならない。ただし、各営業所に配置する事業用自動車の種別ごとの数の変更については、あらかじめ届け出なければならず、国土交通省令で定める軽微な事項に関する変更については、遅滞なく届け出なければならない。
試験の作り方は1-01と同じで、言葉の入れ替えです。「営業所の位置の変更は、あらかじめ届け出ればよい」——誤り、認可です。「車両数の変更は認可を受けなければならない」——誤り、事前届出です。「主たる事務所の名称変更は、あらかじめ届け出る」——誤り、遅滞なく(事後)です。三区分と「あらかじめ/遅滞なく」の対応まで問われる、と覚えてください。
なお1-01で見た運賃・料金は、事業計画とは別枠で、定めたとき・変更したときに30日以内の届出です。混ぜて出題されることがあるので、別の引き出しに入れておきます。
SECTION 2現場ではこう現れる
いちばん多いのは増車。そして増車は、届出だけでは終わりません
実務でこの条文が動く場面の大半は、増車・減車です。トラックを1台入れる——手続きとしては事前届出一枚に見えますが、現場では次の連鎖を確認します。
増車のたびに見る三つの連動
第一に、車庫の収容能力。増えた車両が車庫に収まる計算になっているか。収まらなければ車庫の面積変更、つまり認可案件に化けます。第二に、運行管理者の選任数。車両数を30で割って1を足す計算(1-17)を跨ぐ増車なら、運行管理者をもう一人立てる必要があります。第三に、運行記録計。総重量7トン以上または最大積載量4トン以上の車両を初めて入れるなら、記録計の運用と保存(1-12)が新たに始まります。届出一枚の裏に、この三つの点検が付いてくるわけです。
短期間に車両数を大幅に増やす場合や、法令遵守の状況に問題がある事業者の増車は、通達により事前届出ではなく認可の扱いとなることがあります。基準の数字は改正されることがあるため、まとまった増車を計画するときは、台数が固まる前にご相談ください。
- □増えた車両が、現在の車庫の収容能力に収まる車庫
- □増車後の車両数で、運行管理者の選任数が足りている選任数
- □新しい車が運行記録計の対象か(7トン・4トン以上)記録計
- □短期間の大幅な増車にあたらないか(認可の扱いになることがある)規模
- ■移転先の土地の要件(区域・地目・幅員)を、契約前に確認したか要確認
- ■車検証の使用の本拠・保管場所と、届出の内容が一致しているか要確認
順番は新規許可のときと同じで、判定が先、契約が後。移転先の契約を済ませてから要件を満たさないと分かるのが、最も高くつく失敗です。
車庫と営業所が動くときは、土地の話に戻ります
営業所の移転や車庫の増設は認可案件であると同時に、新規許可のときと同じ土地要件——市街化調整区域、地目、幅員——の審査をもう一度受けることを意味します。移転先の契約を済ませてから要件を満たさないと分かるのが、最も高くつく失敗です。順番は新規のときと同じで、判定が先、契約が後です。
SECTION 3取り違えると、何が起きるか
「動かしてから届ける」は、記録に残る違反になります
認可を受けるべき変更を先に実施した場合、それは無認可の事業計画変更として行政処分の対象になります。巡回指導や監査では、車検証の使用の本拠・保管場所と届出内容、車庫の現況と認可図面が突き合わされるため、「実態と書類のずれ」は発見される前提で考えるべきです。とくに車庫だけ先に借りて使い始めるケースは、悪意がなくても定番の指摘事項です。
増車側では、届出を出したのに運行管理者の選任数が追いついていない状態が典型の違反です。車を増やす判断は営業の話ですが、その瞬間に管理体制の義務も一緒に増える——この連動を社内の誰かが見ている必要があります。顧問先では、増車の相談を受けた時点でこの三つの連動(車庫・選任数・記録計)を先に点検するのが、当事務所の実務です。
確認の一問一答
一般貨物自動車運送事業者が営業所の位置を変更しようとするときは、あらかじめその旨を届け出なければならない。○か×か。
×。営業所の位置の変更は軽微な事項ではなく、国土交通大臣の認可が必要です。「あらかじめの届出」で足りるのは、各営業所に配置する事業用自動車の種別ごとの数の変更です。
各営業所に配置する事業用自動車の種別ごとの数を変更しようとするときは、国土交通大臣の認可を受けなければならない。○か×か。
×。車両数の変更は、あらかじめの届出(事前届出)です。ただし通達により、大規模な増車等が認可の扱いとなる場合があります。
主たる事務所の名称を変更したときは、遅滞なく届け出ればよい。○か×か。
○。主たる事務所の名称・位置の変更は軽微な事項にあたり、遅滞なく届け出る事後届出です。