CHAPTER 1 ── 1-12
運行記録計
— 装着義務は「7トン・4トン」から
タコグラフ——運行記録計は、運転の一日を機械が描き残す記録です。装着が義務になるのは車両総重量7トン以上、または最大積載量4トン以上の車両から。試験はこの数字と記録の三要素を問い、現場ではこの記録が改善基準の「証人」として、業務記録と突き合わせられます。
SECTION 1試験ではこう問われる
数字は「7・4」、記録は三要素、保存は1年
覚えることは三点に集約されます。まず対象車両。車両総重量7トン以上、または最大積載量4トン以上の事業用自動車です。「または」なので、どちらか一方でも該当すれば装着義務があります。これらの車両をけん引するけん引車も対象です。次に記録の中身。瞬間速度・運行距離・運行時間の三要素を記録します。最後に保存で、1年間——1-10の「日々の記録は1年」の束に入ります。
| 論点 | 結論 |
|---|---|
| 対象車両 | 車両総重量7トン以上 または 最大積載量4トン以上(けん引車を含む) |
| 記録する内容 | 瞬間速度・運行距離・運行時間の三要素 |
| 機器 | アナログ式(チャート紙)・デジタル式のいずれも可 |
| 保存期間 | 1年(1-10参照) |
試験のひっかけは数字の入れ替えです。かつての基準だった「車両総重量8トン以上・最大積載量5トン以上」が選択肢に紛れ込みます。2017年の改正で対象が7トン・4トンに拡大された経緯があるため、古い数字は「もっともらしい誤り」として使われ続けています。いまは7・4。もう一つ、記録の三要素に「休憩時間」や「燃料消費量」を混ぜてくる形もあります。機械が描くのは速度・距離・時間の三つだけです。
事業者は、車両総重量が7トン以上又は最大積載量が4トン以上の普通自動車である事業用自動車に係る運転者等の業務について、当該自動車の瞬間速度、運行距離及び運行時間を運行記録計により記録し、その記録を1年間保存しなければならない。
SECTION 2現場ではこう現れる
タコグラフは、改善基準の「証人」です
運行記録計の記録が実務で持つ意味は、単体の保存義務にとどまりません。巡回指導や監査では、業務記録(1-11)と突き合わせて、拘束時間・休息期間・連続運転が改善基準告示(第2章)に収まっているかを確認する材料として読まれます。手書きの業務記録は書き間違いも起きますが、タコグラフは機械の記録です。二つが食い違えば、疑われるのは手書きの側——つまりこの記録は、正しく運行している会社にとっては身の潔白を示す証人であり、無理な運行をしている会社にとっては動かぬ証拠になります。
アナログとデジタル、保管の要点が違います
アナログ式ならチャート紙が記録そのものです。日付・運転者・車番を裏書きし、月別に保管する。紙の紛失がそのまま記録の欠落になるので、回収の動線(帰庫時に誰が抜き取り、どこに綴じるか)を決めておきます。デジタル式ならデータの保存場所と取り出せる状態の維持が要点で、機器更新時のデータ移行漏れが典型的な事故です(1-10の電子保存の注意と同じです)。中古で対象車両を導入したときに記録計が付いていない・壊れている、というのも増車時(1-02)の見落としの定番なので、納車前の確認項目に入れておいてください。
導入・買い替えには補助金が出ることがあります
デジタル式運行記録計やドライブレコーダーの導入には、国やトラック協会の補助制度が設けられる年があります。義務のない小型車両にまとめて入れる場合も対象になることがあるので、機器の入れ替えを考える際は、その年度の補助メニューを先に確認するのが順序です。
- ✓帰庫時、誰がチャート紙を抜き取るかアナログ
- ✓日付・運転者・車番の裏書きをして、月別に綴じるアナログ
- ✓データの保存場所と、取り出せる状態の維持デジタル
- ✓機器更新のときのデータ移行(消失の定番)デジタル
- ■中古で対象車両を入れるとき、記録計の有無と作動を納車前に確認増車時
- □導入・買い替えに使える補助制度を、その年度に確認する補助
紙の紛失がそのまま記録の欠落になります。回収の動線を決めるだけで、この帳票はほぼ落ちなくなります。
SECTION 3欠けると、何が起きるか
「付いていない」と「残っていない」は、どちらも重い
対象車両に運行記録計を装着せずに運行させることは、それ自体が違反です。装着していても、記録が残っていない・チャート紙が欠けている月がある状態は、1-10で述べた原則どおり「記録していなかった期間」として扱われます。さらにこの記録は改善基準の確認材料であるため、記録の欠落は「隠したいものがあったのではないか」という文脈で読まれやすい——他の帳票の欠落より、疑いの波及が大きい記録だと考えてください。回収と保管を仕組みにし、欠けに気づいたらその日から正しく残し始める。原則はいつもと同じです。
確認の一問一答
車両総重量8トン以上又は最大積載量5トン以上の事業用自動車には、運行記録計による記録が義務づけられている。○か×か。
×。現在の基準は車両総重量7トン以上又は最大積載量4トン以上です。8トン・5トンは改正前の古い基準で、ひっかけの定番です。
運行記録計により記録すべき事項は、瞬間速度、運行距離及び運行時間である。○か×か。
○。この三要素です。休憩時間や燃料消費量は含まれません。
運行記録計による記録は、3年間保存しなければならない。○か×か。
×。保存期間は1年間です。「日々の記録は1年」の束(点呼・業務記録・運行記録計・運行指示書)に含まれます。