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運行管理の教科書 / 第1章 貨物自動車運送事業法 / 1-06

CHAPTER 1 ── 1-06

乗務後点呼と中間点呼
— 「2泊3日」で何が変わるか

公開 2026.09.07 内容の確認日 2026.09.07 読了目安 8分
試験 頻出第1章 点呼

点呼は乗務前だけではありません。帰ってきたときの乗務後点呼、そして長距離運行の途中に挟む中間点呼。三つの点呼は確認する中身が少しずつ違い、試験はその「少しずつ」を突いてきます。鍵になるのは運行の泊数です。1泊2日までは前と後の二回。2泊3日からは、中間点呼と運行指示書の世界が始まります。

SECTION 1試験ではこう問われる

三つの点呼を、一枚のマトリクスにする

まず乗務後点呼です。運行を終えた運転者に対して、対面(運行上やむを得ない場合は電話その他)で行い、①事業用自動車・道路・運行の状況の報告、②交替した運転者に対する通告(交替があった場合)を求め、③酒気帯びの有無を確認します。乗務前との違いに注目してください。乗務後には日常点検の確認がなく、体調(疾病・疲労・睡眠不足)の確認もありません。運転はもう終わっているからです。逆に「道路及び運行の状況」は乗務後だけの事項です。

次に中間点呼。これは乗務前・乗務後のいずれの点呼も対面で行うことができない乗務——実務でいう2泊3日以上の運行——のときに、乗務の途中に少なくとも1回、電話その他の方法で行うものです。確認事項は酒気帯びと疾病・疲労・睡眠不足等の二つで、必要な指示を与えます。日常点検の確認は含まれません(それは乗務前の仕事です)。三つを並べると次の表になります。

確認・報告事項乗務前中間乗務後
酒気帯びの有無○○○
疾病・疲労・睡眠不足等○○─
日常点検の実施・確認○──
自動車・道路・運行の状況──○
交替運転者への通告──○
必要な指示○○─
乗務前 中間 乗務後 対面が原則 電話その他の方法 対面が原則 酒気帯びの有無 ── 三回とも 体調と必要な指示 ── 乗務前と中間だけ 日常点検 ── 乗務前だけ 自動車・道路・運行の状況 交替運転者への通告 ── 運転してきた点呼だけ 時間の向きで整理すれば、表を丸暗記しなくても再現できます
図 1-06-1酒気帯びは三回とも。体調と指示は「これから運転する」点呼、報告と通告は「運転してきた」点呼です。

覚え方は三行です。酒気帯びは三回とも。体調と指示は「これから運転する」点呼(前・中間)だけ。報告と通告は「運転してきた」点呼(後)だけ。時間の向きで整理すれば、表を丸暗記しなくても再現できます。

試験のひっかけも決まっています。第一に、「中間点呼は対面で行わなければならない」は誤り。中間点呼は、対面ができない運行だからこそ行うもので、電話その他の方法によります。第二に、確認事項の横流し——「乗務後点呼において日常点検の実施を確認した」「中間点呼で道路及び運行の状況の報告を求めた」はいずれも誤り。第三に、実施の要否判定です。1泊2日の運行には中間点呼は不要です。初日の乗務前か最終日の乗務後のどちらかは営業所で対面できるからです。「いずれも対面でできない」に該当するのは2泊3日以上、と具体例で覚えてください。

根拠 ── 貨物自動車運送事業輸送安全規則 第7条第2項・第3項(要旨)

事業者は、乗務を終了した運転者等に対し対面(運行上やむを得ない場合は電話その他の方法)により点呼を行い、事業用自動車、道路及び運行の状況並びに交替した運転者等に対する通告について報告を求め、酒気帯びの有無について確認を行わなければならない。乗務前及び乗務後の点呼のいずれも対面で行うことができない乗務を行う運転者等に対しては、その乗務の途中において少なくとも1回、電話その他の方法により点呼を行い、酒気帯びの有無及び疾病、疲労、睡眠不足等の状況について報告を求め、確認を行い、必要な指示を与えなければならない。

SECTION 2現場ではこう現れる

2泊3日の線を越えた瞬間、帳票が二枚増えます

運行計画を組む立場から見ると、「2泊3日」は単なる日数ではなく、管理の段が一つ上がる線です。この線を越える運行には、中間点呼に加えて運行指示書(1-13)の作成が必要になります。正副2通を作り、正を運転者に携行させ、運行の終了日から1年保存する。つまり長距離運行を受けるということは、点呼の電話一本と、指示書一式の運用がセットで始まるということです。

電話点呼の記録は、「いつ・誰が・どこへ」まで

中間点呼と電話による乗務後点呼は、対面より記録の書き方が問われます。実施した時刻、点呼を行った者、運転者の所在(どこの駐車場か、フェリー上か)、確認結果と指示内容。ここまで書いて初めて、後から見た人に「実際に行われた点呼」として読めます。時刻の記載がない電話点呼の記録は、巡回指導では実施の証明力が弱いと考えてください。

DENWA TENKO ── 電話による点呼の記録 実施した時刻 点呼を行った者 運転者の所在 確認の結果(検知器の数値を含む) 与えた指示の内容 「どこの駐車場か、フェリー上か」まで書いて、はじめて実際に行われた点呼として読めます
図 1-06-2時刻の記載がない電話点呼の記録は、巡回指導では実施の証明力が弱いと考えてください。

酒気帯び確認は、出先でも検知器です

三つの点呼すべてに酒気帯びの確認がある以上、長距離運行の運転者には携帯型のアルコール検知器を持たせ、測定結果を電話で報告させる運用が標準です(検知器の備え付けと保持の考え方は1-07)。「電話だから声の様子で確認した」だけでは、確認方法として不足です。

中間点呼 記録の記入例2泊3日運行/中日
  • ✓実施日時○/○ 20:15
  • ✓点呼を行った者(運行管理者/補助者の別)運行管理者
  • ✓運転者の所在○○PA 上り
  • ✓酒気帯びの有無(携行検知器の数値を報告させる)0.00
  • ✓疾病・疲労・睡眠不足等の状況異常なし
  • ✓与えた指示明朝の路面凍結に注意

「電話だから声の様子で確認した」では確認方法として不足です。長距離の運転者には携帯型の検知器を持たせ、数値を報告させる運用が標準になります。

SECTION 3抜けると、何が起きるか

中間点呼の漏れは、長距離を走る会社の定番指摘です

中間点呼は、日常の点呼と違って「必要になる運行のときだけ」発生する義務です。だからこそ抜けます。巡回指導では、業務記録や運行指示書から2泊3日以上の運行を拾い出し、その日の点呼記録と突き合わせる——という順で確認されるため、運行の実績があるのに中間点呼の記録がない状態は、そのまま指摘になります。運行指示書を作っていない場合は、指示書の不備と中間点呼の漏れが同時に見つかる、二重の指摘になりがちです。

対策は仕組みで持つのが確実です。配車の段階で「この運行は2泊3日以上か」を判定する欄を運行指示書の様式に設け、該当するなら中間点呼の予定時刻まで書き込んでおく。点呼が「気づいた人がやる」運用のままだと、繁忙期に必ず落ちます。当事務所の顧問先では、長距離運行のこの一連の流れ——指示書・中間点呼・記録——を一つの様式で回す形に整えています。

確認の一問一答

乗務前及び乗務後の点呼のいずれも対面で行うことができない乗務については、乗務の途中に少なくとも1回、対面により点呼を行わなければならない。○か×か。

×。中間点呼は電話その他の方法により行います。対面で行えない乗務だからこそ設けられている点呼です。

乗務後の点呼においては、日常点検の実施又はその確認について報告を求めなければならない。○か×か。

×。日常点検の確認は乗務前点呼の事項です。乗務後点呼では、自動車・道路・運行の状況、交替運転者への通告の報告と、酒気帯びの確認を行います。

1泊2日の運行を行う運転者に対しては、乗務の途中において中間点呼を行わなければならない。○か×か。

×。1泊2日であれば、乗務前または乗務後のいずれかの点呼は営業所で対面により行えるため、中間点呼の義務はありません。中間点呼が必要になるのは、いずれも対面で行えない2泊3日以上の運行です。

根拠貨物自動車運送事業輸送安全規則 第7条(点呼)・第9条の3(運行指示書)
確認本記事は法令および九州運輸局の公示にもとづき作成し、記載の確認日時点の制度を反映しています。個別の判断は必ずご相談ください。

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