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運行管理の教科書 / 第5章 実務上の知識及び能力 / 5-04

CHAPTER 5 ── 5-04

特別な指導と、適性診断
— 事故惹起・初任・高齢の三つと、その時期

公開 2026.09.08 内容の確認日 2026.09.08 読了目安 10分
試験 頻出巡回指導 重点第5章 運行管理の実務

一般的な指導とは別に、決まった運転者には特別な指導と適性診断が要ります。事故を起こした運転者、新しく入った運転者、65歳以上の運転者。それぞれ内容も時間も時期も違い、しかも「1年」と「3年」が別々の場面で出てきます。ここは混同しやすいので、表にして分けて持っておくのが早道です。

SECTION 1試験ではこう問われる

三つの類型と、それぞれの時間・時期

指針の第二章が定めるのは、事故惹起運転者・初任運転者・高齢運転者に対する特別な指導です。一般的な指導(5-03)とは別に、この三つには追加で行うことがあります。表にして持っておくのが確実です。

特別な指導 ── 誰に、どれだけ、いつ告示 第二章
事故惹起運転者 死者または重傷者を生じた事故を引き起こした運転者。軽傷者を生じた事故の場合は、その事故前の3年間に事故を引き起こしたことがある者
座学 合計6時間以上。安全運転の実技は可能な限り実施(時間の定めなし)
時期:再度乗務する前。やむを得ない事情があるときは乗務開始後1か月以内告示 第二章 1(1)
初任運転者 新たに雇い入れた者(初めて乗務する前3年間に他の事業者で常時選任されたことがある者を除く)
座学 15時間以上 + 実際に運転させる指導 20時間以上
時期:初めて乗務する前。やむを得ない事情があるときは乗務開始後1か月以内告示 第二章 1(2)
高齢運転者 65歳以上の運転者
時間の定めなし。適性診断の結果に基づき、加齢に伴う身体機能の変化の程度に応じた安全な運転方法等を運転者が自ら考えるよう指導する
時期:適性診断の結果が判明した後1か月以内告示 第二章 1(3)

時間の定めがあるのは事故惹起(座学6時間以上)と初任(座学15時間・実技20時間以上)だけです。高齢運転者には時間の定めがありません。逆に、時期が「診断の結果が判明した後」と書かれているのは高齢運転者だけです。

適性診断は、指導とは別に受けさせるもの

特別な指導とあわせて、適性診断を受診させます。指導は事業者が行うもの、診断は国土交通大臣の認定を受けた機関が行うもので、別のものです。ここも三つに分かれますが、事故惹起運転者の診断だけは、さらにⅠとⅡに分かれます。

適性診断 ── 誰が、いつ受けるか告示 第二章 2
特定診断Ⅰ①死者または重傷者を生じた事故を引き起こし、かつその事故前の1年間に事故を引き起こしたことがない者 ②軽傷者を生じた事故を引き起こし、かつその事故前の3年間に事故を引き起こしたことがある者
特定診断Ⅱ死者または重傷者を生じた事故を引き起こし、かつその事故前の1年間に事故を引き起こしたことがある者
初任診断初任運転者。初めて乗務する前(やむを得ない事情があるときは乗務開始後1か月以内)
適齢診断65歳以上の運転者。65歳に達した日以後1年以内に1回、その後は3年以内ごとに1回

ⅠとⅡの分かれ目は「死者・重傷者の事故を起こし、その事故前1年間に事故歴があるかどうか」。あるほうがⅡです。一方、特別な指導の対象になるかどうかの判定で出てくる「3年」は、軽傷者の事故の場合の要件。数字が近いので、どちらの場面の話かを先に決めてから読むと間違えません。

設問では、この1年と3年を入れ替える形、初任の実技20時間を落とす形、適齢診断の「その後3年以内ごと」を5年にする形が出ます。

SECTION 2現場ではこう現れる

初任の35時間を、どう捻出するか

座学15時間と実技20時間。合わせて35時間、丸4日以上です。人手が足りないから採用したのに、その人を4日間乗せられない——これが現場のいちばんの悩みどころになります。ですが、やむを得ない事情がある場合の「乗務開始後1か月以内」は、計画を立てないことの言い訳にはなりません。

現実的な組み方は二つです。一つは、実技20時間を実際の便に添乗させる形で消化すること。指導する側の運転者と二人で走り、経路と積み方と納品先の作法を教える。これは指導の記録として残せますし、業務としても回ります。もう一つは、座学15時間を分割して、採用日から数週間かけて行うこと。1回2時間なら8回です。

初任運転者の計画(記録の様式に合わせて)◯年◯月採用/氏名 ◯◯
  • ✓初任診断の受診日採用3日目
  • ✓座学15時間(8回に分割)4月中に完了
  • ✓実技20時間(添乗3日+構内)指導者 ◯◯
  • ✓初めて単独乗務した日4月◯日
  • ✓運転者等台帳への記載済

四行目を書いておくと、「初めて乗務する前に実施したか」が一目で分かります。時期の要件は日付でしか示せません。台帳(1-14)と教育記録の両方に、同じ日付が入っている状態にしておきます。

65歳を過ぎたら、毎年ではありません

適齢診断は、65歳に達した日以後1年以内に1回、その後は3年以内ごとに1回です。毎年ではありません。ただし、診断を受けた後1か月以内に、その結果に基づく指導を行う必要があります。診断を受けさせて終わりにしがちなのが、この類型です。結果が返ってきたら、本人と話す場を作る。それが指導の実施になります。

指針の書きぶりも独特で、「運転者が自ら考えるよう指導する」となっています。加齢による変化は本人がいちばん自覚しにくいところですから、告げるのではなく、気づいてもらう形が求められている。診断結果の数値を一緒に見ながら、どの場面で気をつけるかを本人に言ってもらう——それが記録に残せる形です。

SECTION 3不備だと、何が起きるか

時期を外すと、実施していないのと同じ扱いです

特別な指導は、時期まで含めて要件です。初任運転者に対する指導を、乗務開始から2か月たってから行っても、要件を満たしたことにはなりません。事故惹起運転者を、指導を行わないまま乗務させれば、それ自体が違反です。「やった」ことより「いつやったか」が問われるのが、この項目の特徴です。

監査では、対象となる運転者を洗い出し、指導と診断の記録を突き合わせます。初任運転者に該当するかどうかは過去3年間に他の事業者で常時選任されたことがあるかで決まりますから、採用のときにそれを確かめて記録しておく必要があります。「経験者だから初任ではない」と判断した根拠を、あとから示せるようにしておきます。

やってはいけない直し方

経験者だからという理由だけで初任運転者の指導を省く。実技20時間を「乗せて走ったから」として記録なしで済ませる。事故を起こした運転者を、指導も診断も先送りにしたまま乗務させる。——一つめは、除外されるのは過去3年間に他の事業者で常時選任されたことがある者だけです。長い経験があっても、直近3年に空白があれば初任運転者になります。二つめは、実施したことを示す記録がなければ実施していないのと同じ。三つめは、事故のあとに最も重く見られる形です。

確認の一問一答

初任運転者に対する特別な指導の時間数を、座学と実技に分けて答えよ。

座学(指針に定める事項)が15時間以上、実際に運転させる指導が20時間以上です。原則として初めて事業用自動車に乗務する前に実施し、やむを得ない事情がある場合には乗務を開始した後1か月以内に実施します。

適齢診断は、いつ受診させるか。

65歳に達した日以後1年以内に1回受診させ、その後は3年以内ごとに1回受診させます。指導は、適性診断の結果が判明した後1か月以内に行います。

特定診断Ⅰと特定診断Ⅱは、何によって分かれるか。

死者または重傷者を生じた事故を引き起こした運転者について、その事故前の1年間に事故を引き起こしたことがあるかどうかで分かれます。あればⅡ、なければⅠです。なお、軽傷者を生じた事故の場合は、その事故前3年間に事故歴があるときにⅠの対象となります。

根拠貨物自動車運送事業輸送安全規則 第10条第2項/指導及び監督の指針(平成13年国土交通省告示第1366号)第二章
確認本記事は法令の条文および国土交通省・厚生労働省・警察庁の公表資料にもとづき作成し、記載の確認日時点の制度を反映しています。指針・マニュアル・ガイドラインの類は改訂されることがあり、物理や生理に関する用語には公的な定義が置かれていないものもあります。実際の運用にあたっては最新の告示・公表資料をご確認のうえ、個別の判断は必ずご相談ください。

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