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運行管理の教科書 / 第5章 実務上の知識及び能力 / 5-02

CHAPTER 5 ── 5-02

運行計画をつくる
— 距離と時間を数え、改善基準に当てる

公開 2026.09.08 内容の確認日 2026.09.08 読了目安 10分
試験 頻出第5章 運行管理の実務

試験でいちばん手が止まるのが、この計算です。出発時刻と到着時刻、休憩の位置、平均速度から所要時間を出し、その運行が改善基準告示の枠に収まるかを判定する。数える順番を決めておけば、迷わずに済みます。実務でも同じで、配車の紙の上でこの順番どおりに数えられるかどうかが、枠を超える運行を出すかどうかを分けます。

SECTION 1試験ではこう問われる

数える順番を、先に決めておきます

与えられるのは、距離・平均速度・休憩や荷役の時間・始業と終業の時刻。求められるのは、その運行が改善基準告示の枠に収まるかどうかです。順番どおりに数えれば、迷うところはありません。順番を決めていないから、途中で何を足したか分からなくなります。

数える順番運行計画の判定
① 所要時間を出す距離 ÷ 平均速度。210km ÷ 時速35km = 6時間。端数は分に直す試験では平均速度が与えられる
② 運転時間を足す運転している時間だけを足す。休憩・荷積み・荷卸しは入れない
③ 拘束時間を出す始業から終業まで。休憩も荷役も待機も、すべて入る2-02
④ 休息期間を見る前日の終業から当日の始業まで。継続11時間以上が基本、9時間を下回らない2-04
⑤ 連続運転を見る運転の中断なしに4時間を超えていないか。中断は1回おおむね連続10分以上、合計30分以上2-06
⑥ 平均で見る2日を平均した1日あたりの運転時間9時間、2週間を平均した1週あたり44時間2-05

③と②を混ぜないこと。ここを混ぜると、拘束時間が短く出て「収まっている」と誤判定します。荷待ちの1時間は、運転時間には入りませんが拘束時間には入ります。

ある一日の運行(拘束13時間・運転9時間) 6 8 10 12 14 16 18 20 運転 4:00 2:30 2:30 休憩30分 休憩30分 荷卸し1時間 点呼 荷積み・点呼 拘束時間 13時間(6:00 始業 → 19:00 終業) 運転 4:00 + 2:30 + 2:30 = 9時間 / 連続運転はいずれも4時間以内、中断は30分ずつ 休憩1時間と荷役3時間は、運転時間には入らないが拘束時間には入る
図 5-02-1帯にすると、運転時間と拘束時間が別の量であることが目で分かります。試験でつまずくのは、たいていこの二つを混ぜたときです。

判定の順序も決めておきます。①1日の拘束時間 → ②休息期間 → ③連続運転 → ④2日平均の運転時間 → ⑤1か月の拘束時間。前の段で外れていれば、その先を数えるまでもありません。設問は、たいてい一か所だけ外してありますから、順に当てていけば見つかります。

SECTION 2現場ではこう現れる

配車の紙の上で、同じことをやる

実務でこの計算をするのは、試験のときではなく受注の段階です。荷主から時間指定が来る、経路と距離が決まる、そこから逆算して始業時刻が決まる。この時点で拘束時間が15時間になるなら、その便は受けられません。受けてから現場で調整しようとすると、必ず枠を超えます。

実務が試験と違うのは、読めない時間があることです。荷待ちと荷役がそれにあたります。改善基準告示の1日の拘束時間には、荷待ちも入ります。だから「積込みが何時になるか分からない」荷主の便は、それだけで計画が立たない。荷待ち時間の記録(1-11)は、この交渉の材料になります。何分待っているかを数字で示せなければ、話は前に進みません。

受注のときに埋める7行◯◯運輸/熊本→福岡 定期便
  • ✓片道の距離(往復260km)130km
  • ✓見込みの平均速度時速40km
  • ✓往復の運転時間6時間30分
  • ✓荷積み・荷卸しの見込み計2時間
  • ✓荷待ちの実績(直近3か月の平均)40分
  • ✓休憩・点呼・日常点検1時間40分
  • ✓算出した拘束時間 → 判定10時間50分・可

五行目が要点です。荷待ちを「ゼロ」で計算した計画は、必ず現場で崩れます。実績の平均を入れて計算し、それでも収まるかどうかを見る。収まらないなら、受注のときに条件を変える話をします。

遅れが出たときの、判断の順番

途中で遅れが出れば、その日の拘束時間は伸びます。ここで運行管理者が決めることは三つです。①どこかで待たせて翌日に回すか、②交替の運転者を出すか、③荷主に遅延を伝えるか。速度を上げて取り戻す、という選択肢は最初からありません(4-02)。この三つを、遅れが出てから考えないこと。経路ごとにあらかじめ決めておけば、その場の判断は「どれを選ぶか」だけになります。

SECTION 3不備だと、何が起きるか

計画の段階で分かっていたことは、重く見られます

枠を超えた運行が続いていた月に事故が起きれば、確認されるのは日報だけではありません。その運行計画が、どういう見込みで組まれていたかが問われます。最初から15時間で組んであれば、遅れが出た日に超えることは分かっていたことになります。「結果として超えた」のと「超えるように組んであった」のとでは、扱いが違います。

そして監査では、拘束時間・運転時間の記録が確認されます。集計していなければ、超えていたかどうかを会社が把握していなかったことになる。月末の集計は、超えたときに気づくための作業です。翌々月に作っていては、気づく機会が二か月遅れます。

やってはいけない直し方

計画上の平均速度を実際より高く置いて、拘束時間を短く見せる。荷待ちをゼロで計算する。日報の終業時刻を早めに書いてもらう。——一つめと二つめは、計画そのものを実態から離す操作です。三つめは記録の作り替えで、運行記録計やETCの記録、納品先の受領時刻と突き合わせれば分かります。収まらない運行は、収まる形に変えるしかありません。便を分ける、交替の運転者を置く、時間指定を変えてもらう。どれも受注のときにしかできない話です。

確認の一問一答

拘束時間と運転時間の違いを述べよ。荷待ち時間はどちらに入るか。

拘束時間は始業から終業までのすべての時間で、休憩・荷役・荷待ちを含みます。運転時間は実際に運転している時間だけです。荷待ち時間は拘束時間には入りますが、運転時間には入りません。

距離210キロメートルの区間を平均時速35キロメートルで走行する場合の所要時間はいくらか。

210 ÷ 35 = 6時間です。試験では平均速度が与えられますから、距離を平均速度で割るだけです。端数が出たときは分に直します(0.5時間=30分)。

運行計画を判定するとき、どのような順序で見るとよいか。

①1日の拘束時間、②休息期間、③連続運転時間と中断、④2日を平均した1日あたりの運転時間、⑤1か月の拘束時間の順です。前の段階で枠を外れていれば、その先を数える必要はありません。

根拠自動車運転者の労働時間等の改善のための基準(平成元年労働省告示第7号/令和4年厚生労働省告示第367号による改正)/貨物自動車運送事業輸送安全規則 第3条・第9条の3
確認本記事は法令の条文および国土交通省・厚生労働省・警察庁の公表資料にもとづき作成し、記載の確認日時点の制度を反映しています。指針・マニュアル・ガイドラインの類は改訂されることがあり、物理や生理に関する用語には公的な定義が置かれていないものもあります。実際の運用にあたっては最新の告示・公表資料をご確認のうえ、個別の判断は必ずご相談ください。

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いまの運行計画と日報を突き合わせ、拘束時間・運転時間・休息期間が枠に収まっているかを拝見します。 運送業の帳票点検・巡回指導対応・顧問を、お引き受けしています。

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