CHAPTER 5 ── 5-02
運行計画をつくる
— 距離と時間を数え、改善基準に当てる
試験でいちばん手が止まるのが、この計算です。出発時刻と到着時刻、休憩の位置、平均速度から所要時間を出し、その運行が改善基準告示の枠に収まるかを判定する。数える順番を決めておけば、迷わずに済みます。実務でも同じで、配車の紙の上でこの順番どおりに数えられるかどうかが、枠を超える運行を出すかどうかを分けます。
SECTION 1試験ではこう問われる
数える順番を、先に決めておきます
与えられるのは、距離・平均速度・休憩や荷役の時間・始業と終業の時刻。求められるのは、その運行が改善基準告示の枠に収まるかどうかです。順番どおりに数えれば、迷うところはありません。順番を決めていないから、途中で何を足したか分からなくなります。
| ① 所要時間を出す | 距離 ÷ 平均速度。210km ÷ 時速35km = 6時間。端数は分に直す試験では平均速度が与えられる |
|---|---|
| ② 運転時間を足す | 運転している時間だけを足す。休憩・荷積み・荷卸しは入れない |
| ③ 拘束時間を出す | 始業から終業まで。休憩も荷役も待機も、すべて入る2-02 |
| ④ 休息期間を見る | 前日の終業から当日の始業まで。継続11時間以上が基本、9時間を下回らない2-04 |
| ⑤ 連続運転を見る | 運転の中断なしに4時間を超えていないか。中断は1回おおむね連続10分以上、合計30分以上2-06 |
| ⑥ 平均で見る | 2日を平均した1日あたりの運転時間9時間、2週間を平均した1週あたり44時間2-05 |
③と②を混ぜないこと。ここを混ぜると、拘束時間が短く出て「収まっている」と誤判定します。荷待ちの1時間は、運転時間には入りませんが拘束時間には入ります。
判定の順序も決めておきます。①1日の拘束時間 → ②休息期間 → ③連続運転 → ④2日平均の運転時間 → ⑤1か月の拘束時間。前の段で外れていれば、その先を数えるまでもありません。設問は、たいてい一か所だけ外してありますから、順に当てていけば見つかります。
SECTION 2現場ではこう現れる
配車の紙の上で、同じことをやる
実務でこの計算をするのは、試験のときではなく受注の段階です。荷主から時間指定が来る、経路と距離が決まる、そこから逆算して始業時刻が決まる。この時点で拘束時間が15時間になるなら、その便は受けられません。受けてから現場で調整しようとすると、必ず枠を超えます。
実務が試験と違うのは、読めない時間があることです。荷待ちと荷役がそれにあたります。改善基準告示の1日の拘束時間には、荷待ちも入ります。だから「積込みが何時になるか分からない」荷主の便は、それだけで計画が立たない。荷待ち時間の記録(1-11)は、この交渉の材料になります。何分待っているかを数字で示せなければ、話は前に進みません。
- ✓片道の距離(往復260km)130km
- ✓見込みの平均速度時速40km
- ✓往復の運転時間6時間30分
- ✓荷積み・荷卸しの見込み計2時間
- ✓荷待ちの実績(直近3か月の平均)40分
- ✓休憩・点呼・日常点検1時間40分
- ✓算出した拘束時間 → 判定10時間50分・可
五行目が要点です。荷待ちを「ゼロ」で計算した計画は、必ず現場で崩れます。実績の平均を入れて計算し、それでも収まるかどうかを見る。収まらないなら、受注のときに条件を変える話をします。
遅れが出たときの、判断の順番
途中で遅れが出れば、その日の拘束時間は伸びます。ここで運行管理者が決めることは三つです。①どこかで待たせて翌日に回すか、②交替の運転者を出すか、③荷主に遅延を伝えるか。速度を上げて取り戻す、という選択肢は最初からありません(4-02)。この三つを、遅れが出てから考えないこと。経路ごとにあらかじめ決めておけば、その場の判断は「どれを選ぶか」だけになります。
SECTION 3不備だと、何が起きるか
計画の段階で分かっていたことは、重く見られます
枠を超えた運行が続いていた月に事故が起きれば、確認されるのは日報だけではありません。その運行計画が、どういう見込みで組まれていたかが問われます。最初から15時間で組んであれば、遅れが出た日に超えることは分かっていたことになります。「結果として超えた」のと「超えるように組んであった」のとでは、扱いが違います。
そして監査では、拘束時間・運転時間の記録が確認されます。集計していなければ、超えていたかどうかを会社が把握していなかったことになる。月末の集計は、超えたときに気づくための作業です。翌々月に作っていては、気づく機会が二か月遅れます。
計画上の平均速度を実際より高く置いて、拘束時間を短く見せる。荷待ちをゼロで計算する。日報の終業時刻を早めに書いてもらう。——一つめと二つめは、計画そのものを実態から離す操作です。三つめは記録の作り替えで、運行記録計やETCの記録、納品先の受領時刻と突き合わせれば分かります。収まらない運行は、収まる形に変えるしかありません。便を分ける、交替の運転者を置く、時間指定を変えてもらう。どれも受注のときにしかできない話です。
確認の一問一答
拘束時間と運転時間の違いを述べよ。荷待ち時間はどちらに入るか。
拘束時間は始業から終業までのすべての時間で、休憩・荷役・荷待ちを含みます。運転時間は実際に運転している時間だけです。荷待ち時間は拘束時間には入りますが、運転時間には入りません。
距離210キロメートルの区間を平均時速35キロメートルで走行する場合の所要時間はいくらか。
210 ÷ 35 = 6時間です。試験では平均速度が与えられますから、距離を平均速度で割るだけです。端数が出たときは分に直します(0.5時間=30分)。
運行計画を判定するとき、どのような順序で見るとよいか。
①1日の拘束時間、②休息期間、③連続運転時間と中断、④2日を平均した1日あたりの運転時間、⑤1か月の拘束時間の順です。前の段階で枠を外れていれば、その先を数える必要はありません。