CHAPTER 3 ── 3-07
整備管理者
— 5両からの選任と、運行管理者との違い
運送業には二人の管理者がいます。運行管理者(1-17)と、整備管理者です。整備管理者は道路運送車両法の側の役職で、乗車定員10人以下の事業用自動車は5両以上で選任義務が生じます。資格の取り方も、選任の届出も、運行管理者とは別の制度です。混同したまま届出を出して差し戻される、という事故がよく起きます。
SECTION 1試験ではこう問われる
台数の線は五つ。事業用トラックは5両から
整備管理者は、自動車の使用の本拠ごとに選任します。何両から選任義務が生じるかは、施行規則第31条の3が自動車の種類ごとに定めています。運送業に関係するのは第三号です。
| 自動車の種類 | 台数 |
|---|---|
| 乗車定員11人以上の自動車(次の行に掲げるものを除く) | 1両以上 |
| 乗車定員11人以上29人以下の自家用自動車(道路運送法第80条第1項の許可=有償貸渡しに係るものを除く) | 2両以上 |
| 乗車定員10人以下で車両総重量8トン以上の自家用自動車、および乗車定員10人以下の自動車運送事業の用に供する自動車 | 5両以上 |
| 貨物軽自動車運送事業の用に供する自動車、および乗車定員10人以下で車両総重量8トン未満の自家用自動車であって有償貸渡しの許可に係るもの | 10両以上 |
一般貨物のトラックは乗車定員10人以下の事業用自動車ですから、第三号の5両以上にあたります。設問では、第四号の10両(貨物軽自動車運送事業)と入れ替えて作られることがあります。緑ナンバーの普通トラックは5両、黒ナンバーの軽貨物は10両——ここを分けて覚えます。
資格の取り方は、実質二つ
整備管理者になれる者の要件は、施行規則第31条の4が三つの号で定めています。第三号は「前二号に掲げる技能と同等の技能として国土交通大臣が告示で定める基準以上の技能を有する者」ですから、実際に選べるのは次の二つの経路です。
そして選任したときは、その日から15日以内に、地方運輸局長に届け出なければなりません(第52条)。変更したときも同様です。運行管理者の選任届(1-17)と似ていますが、根拠条文も届出先の呼び方も別の制度です。
SECTION 2現場ではこう現れる
運行管理者と整備管理者は、役割が重なりません
兼任は禁じられていませんし、小規模な会社では同じ人が両方を務めていることも珍しくありません。ただ、見ているものが違うということは押さえておく必要があります。
| 運行管理者 | 整備管理者 | |
|---|---|---|
| 根拠 | 貨物自動車運送事業法 第18条 | 道路運送車両法 第50条 |
| 見るもの | 運転者と運行(点呼・指導監督・運行計画) | 車両と整備(点検の実施・整備の実施) |
| 選任の基準 | 車両数に応じて必要数が決まる(1-17) | 事業用トラックは5両以上で1人 |
| 資格 | 運行管理者試験の合格、または実務経験5年+講習5回 | 実務経験2年+研修、または3級以上の整備士 |
| 届出 | 選任・解任のとき(届出) | 選任・変更のとき、15日以内に地方運輸局長へ |
実務でいちばん効いてくるのは、日常点検で不具合が見つかったときの判断です。その車を出すか止めるか——これは整備管理者の領分です。運行管理者は代わりの車と運転者をどう手配するかを考える。二つの判断が同時に要るので、兼任の会社ほど、その場面での手順を決めておく必要があります(3-04)。
- ✓資格の経路実務2年+研修
- ✓研修修了証写しを保管
- ✓実務経験の証明作成済
- ✓選任届の提出日選任から15日以内
- ✓権限を与えたことの明示社内規程に記載
最後の1行を落とさないこと。法第50条第2項は、整備管理者に対しその職務の執行に必要な権限を与えなければならない、としています。名前だけ置いて、車を止める判断ができない状態は、この規定に照らして弱い。
SECTION 3不備だと、何が起きるか
5両目を入れた月に、選任義務が生まれます
いちばん多い不備が、増車で5両を超えたのに選任していないという形です。4両で回していた会社が1台増やす。事業計画の変更の届出は出した。しかし整備管理者の選任は誰も思い出さない——これが起きます。増車のチェックリスト(3-01)に、この行を入れておく理由です。
また、整備管理者がこの法律もしくはこの法律にもとづく命令、またはこれらにもとづく処分に違反したときは、地方運輸局長が大型自動車使用者等に対して解任を命じることができます(第53条第1項)。解任を命じられた者は、一定の期間、整備管理者として選任されない扱いになります。選任は名前を置くことではなく、職務を行える体制を作ること——制度がそう組まれています。
5両を超えたので、とりあえず社長の名前で選任届を出しておく。研修を受けていないが、実務は長いので大丈夫だろうと考える。——資格要件は実務経験2年と研修の修了がセットです。片方だけでは要件を満たしません。研修は地方運輸局が定期的に行っていますから、増車の予定が見えた時点で申し込んでおく。あとから追いつけない性質の要件です。
確認の一問一答
乗車定員10人以下の事業用貨物自動車について、整備管理者を選任しなければならないのは何両以上のときか。
5両以上です(施行規則第31条の3第三号)。貨物軽自動車運送事業の用に供する自動車は10両以上(第四号)で、こちらと取り違えないよう注意してください。
整備管理者の資格要件のうち、実務上の二つの経路を挙げよ。
①整備の管理を行おうとする自動車と同種類の自動車の点検もしくは整備または整備の管理に関して2年以上の実務経験を有し、地方運輸局長が行う研修を修了した者、②一級・二級または三級の自動車整備士技能検定に合格した者、の二つです。このほか第三号として、これらと同等の技能として国土交通大臣が告示で定める基準以上の技能を有する者、が置かれています(施行規則第31条の4)。
整備管理者を選任したときは、いつまでに、誰に届け出なければならないか。
選任した日から15日以内に、地方運輸局長に届け出なければなりません(法第52条)。変更したときも同様です。