CHAPTER 3 ── 3-08
保安基準の要点
— 12メートル・2.5メートル・3.8メートル、そして90キロ
保安基準は膨大ですが、試験で問われる数値は限られています。自動車の長さ12メートル・幅2.5メートル・高さ3.8メートル。タイヤの溝の深さは1.6ミリメートル。車両総重量8トン以上または最大積載量5トン以上の貨物自動車には、時速90キロメートルを超えて走らせない速度抑制装置。この四つを核にして、備付け品を足していきます。
SECTION 1試験ではこう問われる
覚える数値は、まず四つ
保安基準は膨大な省令ですが、運行管理者試験で問われる数値は限られています。四つを核にして、そこに備付け品を足していく形で覚えると効率がよい。
| 項目 | 数値 | 条文 |
|---|---|---|
| 自動車の長さ | 12メートル | 保安基準 第2条第1項 |
| 自動車の幅 | 2.5メートル | |
| 自動車の高さ | 3.8メートル | |
| タイヤの溝の深さ | 1.6ミリメートル以上 | 保安基準 第9条/細目告示 第167条 |
| 速度抑制装置 | 90キロメートル毎時 | 保安基準 第8条第4項 |
寸法は12・2.5・3.8。セミトレーラのうち告示で定めるものは長さ13メートルまで認められます。タイヤの溝は、使用の過程にある自動車についていずれの部分においても1.6ミリメートル以上(二輪自動車等は0.8ミリメートル以上)。そして速度抑制装置は、貨物の運送の用に供する普通自動車であって、車両総重量8トン以上または最大積載量5トン以上のものに、時速90キロメートルを超えて走行しないよう燃料の供給を調整する装置の備付けが求められています。
自動車は、告示で定める方法により測定した場合において、長さ(セミトレーラにあつては、連結装置中心から当該セミトレーラの後端までの水平距離)十二メートル(セミトレーラのうち告示で定めるものにあつては、十三メートル)、幅二・五メートル、高さ三・八メートルを超えてはならない。
備付け品と、後写鏡
数値のほかに、装置についての基準があります。非常信号用具は、非常時に灯光を発することにより他の交通に警告することができるものとして、細目告示で定める基準に適合するもの(夜間200メートルの距離から確認できる赤色の灯光を発するもの)でなければなりません(保安基準第43条の2)。停止表示器材は、備える場合の基準と、使用に便利な場所に備えることが定められています(同第43条の4)。備付けそのものを義務づけているのは保安基準ではなく、高速道路上での表示を義務づけている道路交通法の側です(第4章)。後写鏡は、運転者が運転者席において自動車の外側線付近および後方の交通状況を確認でき、かつ乗車人員・歩行者等に傷害を与えるおそれの少ないものであることが求められます(同第44条第2項)。
SECTION 2現場ではこう現れる
寸法は、積んだ状態でも超えられません
保安基準の寸法は車両そのものの話ですが、現場で問題になるのは積載した状態です。荷物を積んで高さが3.8メートルを超えれば、そのまま走ることはできません。長さ・幅についても、道路交通法の側で積載の制限がかかります(第4章)。車両法の寸法と、道交法の積載制限は別の規定ですが、現場では同時に効いてきます。
タイヤの溝は、日常点検の項目でもあります。1.6ミリメートルはスリップサインが出る深さで、いずれの部分においてもという書き方に注意が要ります。片減りしていて一部だけ浅い、という状態も基準を満たしません。長距離を走る車ほど、点検の間隔のあいだに進みます。
- ✓タイヤの溝(いずれの部分も1.6mm以上)確認
- ✓灯火装置の点灯・不点灯確認
- ✓非常信号用具の備付け有
- ✓後写鏡の破損・角度確認
- ✓積載の高さ(3.8mを超えないか)3.6m
- ✓不正改造(灯火の色・突入防止装置)なし
この6行は、日常点検の項目とほぼ重なります。街頭検査で見られるところは、毎朝見ているところ——そう考えると、点検の意味が現場に伝わりやすくなります。
速度抑制装置は、外せません
速度抑制装置(スピードリミッター)の対象からは、最高速度が90キロメートル毎時以下の自動車、緊急自動車および被牽引自動車が除かれています。これを解除したり、機能しないようにしたりすれば不正改造です。街頭検査でも確認の対象になります。運行計画を立てるときも、高速道路での実勢速度が時速90キロメートルで頭打ちになることを前提に、所要時間を見ておく必要があります。改善基準告示の運転時間(2-05)と、この90キロは同じ運行計画の上で組み合わさります。
SECTION 3不備だと、何が起きるか
基準に適合しない車は、整備命令の対象になります
保安基準に適合しないおそれがある状態で走っていれば、地方運輸局長から整備命令を受けることがあります(3-09)。命令に従わず適合しない状態が続けば、使用の停止。1台の不備が、その車を止めるところまで進むのが車両法の側の効き方です。
そして、不正改造は罰則の対象です。灯火の色を変える、消音器を外す、速度抑制装置を解除する、突入防止装置を外す——いずれも街頭検査で見つかりやすいものです。事業用自動車でこれが出ると、車両1台の問題ではなく、車両管理の体制の問題として扱われます。
タイヤの溝が浅くなってきたが、次の点検まで持たせる。積荷が高くて3.8メートルを超えそうなので、幹線を避けて走る。——前者は、点検で見つけたのに整備しなかった形になります(3-04)。後者は、そもそも走行できない状態です。高さが収まらない荷は、車両を替えるか、積み方を変えるか、荷主と話すか。運行の側で解けない問題を、経路の工夫で通そうとすると、事故のときに説明できません。
確認の一問一答
自動車の長さ、幅、高さの最大値をそれぞれ答えよ。
長さ12メートル(セミトレーラのうち告示で定めるものは13メートル)、幅2.5メートル、高さ3.8メートルです(保安基準第2条第1項)。
使用の過程にある自動車の空気入ゴムタイヤの滑り止めの溝の深さは、いずれの部分においても何ミリメートル以上でなければならないか。
1.6ミリメートル以上です(二輪自動車および側車付二輪自動車は0.8ミリメートル以上)。細目告示第167条に定められています。
速度抑制装置の備付けが必要となる貨物自動車の要件と、制限される速度を答えよ。
貨物の運送の用に供する普通自動車で、車両総重量が8トン以上または最大積載量が5トン以上のものです。時速90キロメートルを超えて走行しないよう燃料の供給を調整する装置の備付けが求められます(保安基準第8条第4項)。