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運行管理の教科書 / 第3章 道路運送車両法 / 3-09

CHAPTER 3 ── 3-09

整備命令と使用停止
— 街頭検査から、車が止まるまで

公開 2026.09.07 内容の確認日 2026.09.07 読了目安 8分
第3章 保安基準

保安基準に適合しないおそれがある車には、地方運輸局長が整備をすべきことを命じることができます。命令や指示に従わず、適合しない状態のままであれば、使用の停止。車検証を返納させられ、その車は動かせなくなります。街頭検査で始まり、事業の監査につながることもある——第3章のなかで、いちばん事業の側に近い規定です。

SECTION 1試験ではこう問われる

命令 → 従わない → 使用停止、という順序

第54条は四つの項でできています。順序を追うと、車が止まるまでの道すじがそのまま見えます。

保安基準に適合しないおそれがある状態にあるとき ① 整備命令(第1項) 地方運輸局長は、必要な整備を行うべきことを命ずることができる。あわせて、適合するに至るまでの運行について使用の方法・経路の制限などの指示ができる ② 命令・指示に従わず、適合しない状態にあるとき(第2項) 地方運輸局長は、当該自動車の使用を停止することができる ③ 適合するに至ったとき(第3項) 直ちに、使用停止の処分を取り消さなければならない ④ 整備を命じる場合のうち一定のとき(第4項) 劣化・摩耗による不適合で、定期点検が未実施と判明したとき → 勧告
図 3-09-1使用停止は、いきなり来るものではありません。まず命令や指示があり、それに従わなかったときの措置です。逆に、適合すれば処分は「直ちに」取り消されます。

ここで押さえておきたいのは二点です。一つ、整備命令の段階では、使用の方法や経路の制限という中間的な措置も選べること。もう一つ、適合するに至れば処分は直ちに取り消されること。第3項が「取り消すことができる」ではなく「取り消さなければならない」と書かれているのは、この処分が制裁ではなく、危険な状態を止めるためのものだからです。

根拠 ── 道路運送車両法 第54条第1項・第2項・第3項(要旨)

地方運輸局長は、自動車が保安基準に適合しなくなるおそれがある状態又は適合しない状態にあるときは、当該自動車の使用者に対し、必要な整備を行うべきことを命ずることができる。この場合において、地方運輸局長は、保安基準に適合しない状態にある当該自動車の使用者に対し、当該自動車が保安基準に適合するに至るまでの間の運行に関し、当該自動車の使用の方法又は経路の制限その他の保安上又は公害防止その他の環境保全上必要な指示をすることができる。地方運輸局長は、使用者が前項の命令又は指示に従わない場合において、当該自動車が保安基準に適合しない状態にあるときは、当該自動車の使用を停止することができる。前項の処分に係る自動車が保安基準に適合するに至つたときは、直ちに同項の処分を取り消さなければならない。

SECTION 2現場ではこう現れる

入口は、たいてい街頭検査です

整備命令の多くは、街頭検査を入口にしています。国土交通省の職員と警察が合同で行うもので、幹線道路の脇や高速道路の出口で車を停め、その場で保安基準への適合を確認します。見られるのは、タイヤ、灯火、後写鏡、突入防止装置、消音器、そして不正改造の有無(3-08)。その場でメジャーや測定器を当てられるものが中心です。

整備命令を受けると、その場で標章を貼られ、期限までに整備をして届け出ることになります。会社としてやるべきことは、受けた運転者からその日のうちに報告が上がる形を作っておくことです。運転者が標章のまま数日走ってしまい、期限を過ぎて発覚する——これがいちばん重くなる形です。

街頭検査で止められたときの手順◯年◯月/熊本東営業所
  • ✓① その場で運行管理者へ連絡電話
  • ✓② 指摘された内容を控える写真
  • ✓③ 走行の可否を整備管理者が判断当日中
  • ✓④ 整備の手配と、期限の確認当日中
  • ✓⑤ 整備後の届出期限内

③が要点です。走ってよいかどうかは運転者が決めることではありません。整備管理者が判断する(3-07)。この一行があるかどうかで、その日の帰庫までの動きが変わります。

事業の側の監査につながることがあります

街頭検査で整備不良が見つかった場合、それが1台限りの話で終わるとは限りません。車両管理の体制に問題があると見られれば、事業の側の監査の端緒になります。監査では、定期点検の実施状況、点検整備記録簿、整備管理者の選任——第3章で扱ってきたものが順に確認されます。第1章の巡回指導と、確認されるものが重なっているのはこのためです。

SECTION 3不備だと、何が起きるか

使用停止になった車は、動かせません

使用停止の処分を受ければ、その車は運行に使えません。1台減った状態で運行を回すことになり、契約している荷主への影響が出ます。整備そのものの費用より、車が使えない期間の損失のほうが大きいのが普通です。しかも、処分の取消しは自動ではなく、適合した状態にして確認を受ける必要があります。

そして、この一連が記録に残ります。事業の監査で過去の処分歴が確認される場面もありますし、荷主から安全管理の状況を尋ねられたときにも触れざるを得ません。一度の整備不良が、数字ではなく信用の側で残る——ここが、罰金の額では測れない部分です。

やってはいけない直し方

整備命令の標章を貼られたが、荷を届けてから工場に入れる。指摘された箇所だけを直して、同じ状態の他の車はそのままにする。——前者は、使用の方法の制限に従わない形になり得ます。後者は、次の街頭検査で同じことが起きます。1台で指摘が出たら、同じ点検の間隔で回っている他の車も同じ状態である可能性が高い。その日のうちに全車を見る——手間はかかりますが、結果としていちばん安く済みます。

確認の一問一答

自動車が保安基準に適合しない状態にあるとき、地方運輸局長は使用者に対してどのような処分をすることができるか。整備命令のほかに、あわせてできることを挙げよ。

必要な整備を行うべきことを命ずることができ、あわせて、保安基準に適合するに至るまでの間の運行に関し、当該自動車の使用の方法または経路の制限その他の保安上または環境保全上必要な指示をすることができます(法第54条第1項)。

使用停止の処分を受けた自動車が、その後保安基準に適合するに至った場合、地方運輸局長はどうしなければならないか。

直ちに使用停止の処分を取り消さなければなりません(法第54条第3項)。「取り消すことができる」ではなく、義務として定められています。

整備を命ずる場合において、劣化または摩耗による不適合であり、かつ定期点検整備が行われていないことが判明したとき、地方運輸局長は何をすることができるか。

当該自動車の使用者に対し、点検をし、および必要に応じ整備をすべきことを勧告することができます(法第54条第4項)。

根拠道路運送車両法 第54条・第69条第2項(自動車検査証の返納)・第100条/貨物自動車運送事業法 第60条(報告徴収及び立入検査)
確認本記事は道路運送車両法および同法施行規則・自動車点検基準・保安基準の条文にもとづき作成し、記載の確認日時点の制度を反映しています。点検整備と検査の運用は通達・公示で補われており、個別の車両がどの規定にあたるかは事案ごとに判断が必要です。実際の手続の際は最新の条文および運輸支局・軽自動車検査協会の案内をご確認のうえ、個別の判断は必ずご相談ください。

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整備命令を受けたあとの手順を決めておくと、事業の側への波及を小さくできます。いまの体制を拝見します。 運送業の帳票点検・巡回指導対応・顧問を、お引き受けしています。

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