CHAPTER 1 ── 1-19
運行管理者の講習
— 基礎・一般・特別、誰がいつ受けるか
運行管理者は、資格者証を取ったら終わりではありません。事業者には、選任している運行管理者に講習を受けさせる義務があります。講習は三つ。入口の基礎講習、維持のための一般講習、事故や処分のあとの特別講習。試験では受講の時期が、現場では「気づいたら年度をまたいでいた」が問題になります。年度で数える分野です。
SECTION 1試験ではこう問われる
入口は基礎、維持は一般、事故のあとは特別
まず、義務を負うのは事業者だという点を押さえます。運行管理者が自分で行くかどうかの話ではなく、事業者が受けさせなければならない、という構造です。そのうえで、対象となる三つの場面を分けます。
一般貨物自動車運送事業者等は、国土交通大臣が告示で定めるところにより、次に掲げる運行管理者に、国土交通大臣が告示で定める講習であって国土交通大臣の認定を受けたものを受けさせなければならない。一、死者若しくは重傷者が生じた事故を引き起こした事業用自動車の運行を管理する営業所または輸送の安全に係る処分の原因となった違反行為が行われた営業所において選任している者。二、運行管理者として新たに選任した者。三、最後に国土交通大臣が認定する講習を受講した日の属する年度の翌年度の末日を経過した者。
ひっかけの型は三つです。第一に数え方。「一般講習は、前回の受講日から2年を経過する日までに受講させなければならない」——条文は、最後に受講した日の属する年度の翌年度の末日を基準にしています。結果として2年ごとに1回になりますが、起点が違います。第二に新任の扱い。新たに選任した運行管理者は、選任した年度に受講させます。第三に特別講習の単位。事故を起こしたのは運転者ですが、講習の対象になるのはその営業所において選任している運行管理者です。本人が事故を起こしたかどうかではありません。
SECTION 2現場ではこう現れる
受講の管理は、名簿一枚で足ります
小規模の会社では、運行管理者が社長ひとり、補助者が一人か二人という体制が普通です。人数が少ないぶん「覚えているから大丈夫」になりやすく、実際には二年前の受講がいつだったか誰も正確に言えない、という状態がしばしば起こります。受講の記録は、名簿一枚に年度で並べておくのが確実です。
- ✓氏名/運行管理者資格者証の番号資格
- ✓基礎講習の修了の有無と修了年月日基礎
- ✓最後に受講した講習の種類と年度最終
- ✓次に受講しなければならない期限(翌年度の3月31日)期限
- ✓修了証の写しの保管場所保管
- ■事故・処分があった場合、特別講習の受講予定を書き足す特別
この一枚を、年間の教育計画(1-20)と同じファイルに綴じておくと、「今年度なにをするか」が一目で決まります。
補助者をつくるには、まず基礎講習
補助者に選任できるのは、運行管理者資格者証を有する者か、基礎講習を修了した者です。朝の点呼を分担できる人を社内につくりたい場合、最初の一歩はこの講習になります。日程はまとまった日数を要しますので、繁忙期を外して計画に入れておく必要があります。会場と定員には限りがあり、年度末は埋まりやすいので、年度の前半に押さえておくのが実務的です。
試験を受ける予定の方は、順番を考えると得です
基礎講習の修了は、運行管理者試験の受験資格である「運行管理に関する1年以上の実務経験」に代えることができます。これから運行管理者を増やそうという会社では、先に基礎講習を受けてもらい、そのまま受験する、という順番が組めます。開催日程と受験申請の時期は年度によって動きますので、その年の案内で確認してください。
SECTION 3不備だと、何が起きるか
「選任している」だけでは足りません
運行管理者を選任し、届出も済んでいる。それでも、講習を受けさせていなければ事業者の義務違反です。巡回指導では、選任の状況とあわせて受講の状況が確認され、修了証の写しが手元にあるかどうかで話が早く済むか長くなるかが決まります。名簿と写しを同じファイルに綴じておくだけで、この項目は説明がつきます。
とくに注意していただきたいのが、事故や行政処分のあとです。特別講習は、その営業所で選任している運行管理者にかかります。事故対応と当面の運行の立て直しに追われている時期ですが、受講の予定を先に押さえておかないと、そのまま年度が過ぎます。処分後のチェック表に、講習の欄を一行入れておくことをお勧めしています。
期限も決まっています。特別講習は、事故または違反行為があった日から1年以内(やむを得ない理由がある場合は1年6月以内)に、できる限り速やかに受講させることとされています。あわせて、基礎講習または一般講習をその年度と翌年度に受講させることになります。事故の直後は「落ち着いてから」と考えがちですが、この分野は年度と1年という二つの物差しが同時に動きますので、日付を決めてしまうのが確実です。
受講していない年度について、名簿の欄だけを埋めておく——修了証は講習の実施機関が発行するものですから、記録だけを作っても確認すればすぐに分かります。抜けている年度は抜けているものとして、直近の開催日程で受講の予定を入れ、その予定を巡回指導の場で示すのが、実際にいちばん通りのよい対応です。
確認の一問一答
一般講習は、最後に受講した日から起算して2年を経過する日までに受講させなければならない。○か×か。
×。条文の基準は「最後に受講した日の属する年度の翌年度の末日」です。結果として2年ごとに1回になりますが、月で数えると年度末で取り違えます。
運行管理者の補助者に選任することができるのは、どのような者か。
運行管理者資格者証を有する者、または国土交通大臣が認定する講習(基礎講習)を修了した者です。基礎講習の修了は、運行管理者試験の受験資格である実務経験1年に代えることもできます。
特別講習の対象となるのは、事故を引き起こした運転者を担当していた運行管理者に限られる。○か×か。
×。死者または重傷者が生じた事故を引き起こした事業用自動車の運行を管理する営業所、または処分の原因となった違反行為が行われた営業所において選任している運行管理者が対象です。担当の別ではなく、営業所単位で考えます。