CHAPTER 1 ── 1-14
運転者等台帳
— 作って備え、辞めたら書き足して三年
運転者等台帳は、採用したときに一度作って引き出しにしまう帳票ではありません。免許の更新、事故や処分、指導と適性診断の受診——運転者の状態が変わるたびに書き足していく台帳です。そして、退職したときにこそ書き込む欄があり、その後3年間の保存が求められます。日々の帳票ではないぶん、巡回指導では「更新が止まっている台帳」が見つかりやすい書類でもあります。
SECTION 1試験ではこう問われる
九つの記載事項と、一枚の写真。備える場所は営業所
台帳は、運転者等ごとに作成し、その運転者等の属する営業所に備えて置きます。記載事項は九つ、これに写真が加わって十の欄になります。ばらばらに覚えるより、四つのまとまりで捉えるほうが早いはずです。
一般貨物自動車運送事業者等は、運転者等ごとに、作成番号及び作成年月日、事業者の氏名又は名称、運転者等の氏名・生年月日及び住所、雇入れの年月日及び運転者等に選任された年月日、運転免許証の番号・有効期限・免許を受けた年月日・種類・条件等、事故を引き起こした場合の概要、道路交通法の規定による通知を受けた場合の概要、健康状態、運転者に対する指導の実施及び適性診断の受診の状況を記載し、かつ、撮影後6月以内の単独・上三分身・無帽・正面・無背景の写真を貼り付けた一定の様式の運転者等台帳を作成し、これを当該運転者等の属する営業所に備えて置かなければならない。運転者等が転任、退職その他の理由により運転者等でなくなった場合には、直ちに、その年月日及び理由を記載し、これを三年間保存しなければならない。
ひっかけの型は三つです。第一に保存年限。「運転者でなくなった場合には、当該台帳を一年間保存しなければならない」——誤り。三年間です。業務記録や点呼記録の一年と混同させる設問が出ます。第二に廃棄の可否。「退職した運転者の台帳は、直ちに廃棄しなければならない」——誤り。直ちに行うのは年月日と理由の記載であって、廃棄ではありません。第三に写真。撮影後6月以内、単独・上三分身・無帽・正面・無背景という要件が付いています。
SECTION 2現場ではこう現れる
止まっている台帳は、免許の有効期限で見つかります
拝見していて多いのは、採用時に作られたまま、免許欄が当時の有効期限で止まっている台帳です。運転者は更新しているので実務上の問題は起きていないのですが、台帳の上では期限切れの免許で乗務し続けていることになります。巡回指導では、この一点で「台帳の管理ができていない」と評価されます。
台帳の免許欄を、そのまま管理表にする
有効期限を台帳に書いたら、同じ日付を一覧表に転記して、更新月の順に並べておく。運転者が10人いても20人いても、A4一枚です。更新の月が来たら新しい免許証を確認し、台帳と一覧の両方を直す。免許証の写しをファイルに綴じている会社は多いのですが、写しは台帳ではありません。台帳の欄が更新されていることが求められます。
書きにくい欄ほど、後で効きます
事故の概要、道路交通法の規定による通知の概要。社長としては書きたくない欄です。ただ、この欄が空のままだと、事故を起こした運転者への特別な指導や、適性診断の受診をなぜ行ったのかという根拠が台帳の上から消えます。指導記録(1-19)と台帳の記載が食い違っていると、実施の事実そのものが疑われます。書きにくい欄は、後で自社を説明する欄でもあります。
健康状態の欄は、健康診断の受診の管理と結び付ける
健康状態の欄は、病名を細かく書き込むための欄ではありません。実務上は、定期健康診断の受診日を書き、受診の管理と結び付ける形で運用している会社が多いと思います。診断の結果として乗務に配慮が必要な場合の扱いは、産業医や医師の意見に基づく判断になりますので、記載の仕方も含めてご相談ください。
- □運転免許証の有効期限が、いまの免許証と一致している免許
- □免許の種類・条件(眼鏡等)の変更が反映されている免許
- □事故を起こした場合、その概要が記載されている事故
- □指導の実施と適性診断の受診の状況が最新である指導
- □健康診断の受診の管理と結び付いている健康
- □写真が貼ってある(撮影後6月以内のもの)写真
- ■退職者の台帳を、3年経たずに処分していないか要確認
免許証の写しをファイルに綴じてあっても、台帳の欄が古いままなら「更新されていない台帳」です。写しは台帳の代わりになりません。
SECTION 3不備だと、何が起きるか
台帳の不備は、免許の失効という形で現れます
台帳が更新されていない状態そのものも指摘の対象ですが、実害として現れるのは、免許の失効や条件違反に気づかないまま乗務させてしまう場面です。無免許運転として扱われれば、運転者本人の問題にとどまらず、会社の管理体制が問われます。台帳は、その気づきの仕組みを会社に持たせるための帳票でもあります。
もう一つ、退職者の台帳が残っていないことも定番の指摘です。「個人情報だから退職と同時に処分した」という説明を受けることがありますが、三年間の保存は規則上の義務です。保存が必要な期間は保管し、期間の経過後に適切に廃棄する——この扱いを社内で決めておけば、どちらの要請にも応えられます。
巡回指導の通知が来てから、過去の日付で台帳の欄を埋めていく——これは不備の解消ではなく、事実と異なる記録を作る行為です。免許の更新や指導の実施は、実際に行われた日が記録として残っているはずですから、その日付で正しく記載し、確認できないものは空欄のまま、いま分かる範囲で整えるのが唯一の直し方です。
確認の一問一答
運転者が退職により運転者でなくなった場合、事業者はその運転者に係る運転者等台帳を直ちに廃棄しなければならない。○か×か。
×。直ちに行うのは、運転者でなくなった年月日及び理由を台帳に記載することです。そのうえで、三年間保存しなければなりません。
運転者等台帳に貼り付ける写真には、どのような要件があるか。
撮影後6月以内の、単独・上三分身・無帽・正面・無背景の写真です。要件が細かく定められているため、設問にしやすい箇所です。
運転者等台帳は、事業者の主たる事務所に一括して備えて置かなければならない。○か×か。
×。当該運転者等の属する営業所に備えて置きます。営業所が複数ある会社では、本社にまとめてしまわないよう注意してください。