CHAPTER 4 ── 4-03
通行区分と追越し
— 車両通行帯の使い方と、追越しが禁じられる場所
車両通行帯のある道路では、いちばん左の通行帯を通るのが原則です。追越しのときだけ右の通行帯に出て、終わったら戻る。そして追越しそのものが禁じられる場所が決まっています。道路の曲がり角付近、上り坂の頂上付近、勾配の急な下り坂、トンネル、交差点・踏切・横断歩道とその手前30メートル。数値は一つ、30メートルだけです。
SECTION 1試験ではこう問われる
左が原則、右は追越しのため。そして禁止場所は30メートル
車両通行帯の設けられた道路では、いちばん左側の通行帯を通行するのが原則です。追越しをするときや、道路標識等で通行区分が指定されているときが例外になります。そしてもう一つ、条文のただし書に左側部分に三以上の車両通行帯があるときは、自動車は、その速度に応じ、最も右側の通行帯以外の通行帯を通行することができるという例外が置かれています(第20条第1項ただし書)。片側3車線であれば、中央の通行帯を走ること自体は原則に反しません。常に禁じられているのは、最も右側の通行帯を追越し以外で走り続けることです。
そして、追越しそのものが禁止される場所が第30条に挙げられています。数値が出てくるのは一か所だけ、30メートルです。
車両は、道路標識等により追越しが禁止されている道路の部分及び次に掲げるその他の道路の部分においては、他の車両を追い越すため、進路を変更し、又は前車の側方を通過してはならない。一 道路の曲がり角付近、上り坂の頂上付近又は勾配の急な下り坂 二 トンネル(車両通行帯の設けられた道路以外の道路の部分に限る。) 三 交差点(優先道路を通行している場合における当該優先道路にある交差点を除く。)、踏切、横断歩道又は自転車横断帯及びこれらの手前の側端から前に三十メートル以内の部分
細かいところで二つ、設問になります。トンネルは、車両通行帯の設けられた道路以外の道路の部分に限られること。そして交差点は、自分が優先道路を通行している場合のその交差点が除かれること。「トンネルは常に追越し禁止」「交差点は例外なく禁止」という形で誤りが作られます。
SECTION 2現場ではこう現れる
通行帯の違反は、大型車ほど目につきます
片側3車線の道路で、大型貨物自動車がいちばん右の通行帯を走り続ける。追越しをしていないのであれば通行区分違反です。中央の通行帯は前記のただし書があるので走れますが、最も右側は追越しのためだけ。車体が大きいぶん、外から見て分かりやすい違反でもあります。事業用の名前が入った車で繰り返せば、荷主や一般の目にも留まります。なお、道路標識等で大型貨物自動車等の通行区分が指定されている道路では、その指定が優先します。
指導の場面では、「なぜ左なのか」を説明できるかどうかで伝わり方が変わります。追越しをしない限り左、というルールは、後続車が追い越す余地を残すためのものです。自分が急いでいないときほど左に戻る——この一言があるだけで、現場の受け取り方は違います。
- ✓車両通行帯は左が原則実車で説明
- ✓追越し禁止場所(30メートル)経路上の実例
- ✓追越し後は左に戻る徹底
二行目を「実際に走っている経路の、この交差点」で説明できると、記録が形式的になりません。指導監督の指針(1-20)でも、自社の運行に即した指導が求められています。
大型車の追越しは、時間も距離も長い
追越しに必要な距離は、車体が長いほど、速度差が小さいほど伸びます。時速80キロメートルで走る車を時速90キロメートルで追い越すなら、速度差は時速10キロメートル。並んでから抜き切るまでに数百メートルを要します。高速道路の法定速度が90キロメートル毎時になったこと(4-02)で、大型車どうしの速度差はむしろ小さくなりました。追越しに入る判断そのものを減らすほうが、現実的な安全対策になります。
SECTION 3不備だと、何が起きるか
追越し関係の事故は、原因が説明しやすい
追越し禁止場所での事故は、なぜそこで追い越したのかが問われる形になります。運行計画に無理があった、遅れを取り戻そうとした——という背景が出てくれば、話は運転者個人にとどまりません。第75条の下命・容認(4-01)や、改善基準告示の運行計画(第2章)に及びます。
そして、通行区分違反も追越し違反も、点数が付きます。積み上がれば免許停止となり、その運転者を乗せられない期間が生じます(4-10)。1件ずつは小さいが、同じ人に積み上がる——これが違反の点数の性質です。運転者ごとの違反歴を運転者等台帳に残しておく理由がここにあります(1-14)。
「追越しはするな」とだけ伝えて終わる。——現実には追越しが必要な場面があり、禁止だけを言えば、必要な場面でも判断を運転者に丸投げすることになります。伝えるべきは、どこが禁止場所か、どのくらいの距離が要るか、そして遅れているときこそ追い越さない、という三つです。禁止の言い渡しは指導ではありません。
確認の一問一答
交差点、踏切、横断歩道および自転車横断帯について、追越しが禁止されるのはこれらの手前何メートル以内の部分か。
手前の側端から前に30メートル以内の部分です(第30条第3号)。ただし、自分が優先道路を通行している場合における当該優先道路にある交差点は除かれます。
トンネルは、常に追越しが禁止される場所である。○か×か。
×。第30条第2号は「トンネル(車両通行帯の設けられた道路以外の道路の部分に限る。)」としています。車両通行帯のあるトンネルは禁止場所から外れます。
車両通行帯の設けられた道路における通行の原則を答えよ。
いちばん左側の車両通行帯を通行するのが原則です。追越しをするときや、道路標識等により通行区分が指定されているときが例外となります。さらに、道路の左側部分に三以上の車両通行帯が設けられているときは、自動車は、政令で定めるところにより、その速度に応じ、最も右側の車両通行帯以外の車両通行帯を通行することができます(第20条第1項ただし書)。