CHAPTER 3 ── 3-03
自動車検査証
— 有効期間と、電子車検証で変わったこと
事業用の貨物自動車の車検は、原則として毎年です。車両総重量8トン未満のものだけ、新車のときの初回が2年。この一点が試験でも実務でもよく問われます。そして令和5年1月からは電子車検証に切り替わり、有効期間が券面に印刷されなくなりました。期限の管理のしかたを変える必要がある会社もあります。
SECTION 1試験ではこう問われる
事業用の貨物は原則1年、8トン未満だけ初回2年
自動車検査証の有効期間は、車の種類と使い方で決まります。運送業に関係するところだけ取り出すと、こうなります。旅客・貨物の運送の用に供する自動車は1年。ただし、初めて交付を受けるときに限り、車両総重量8トン未満の貨物運送用のものは2年。この一行が試験の答えになります。
| 自動車 | 初回 | 2回目以降 |
|---|---|---|
| 事業用貨物(車両総重量8トン以上) | 1年 | 1年 |
| 事業用貨物(車両総重量8トン未満) | 2年 | 1年 |
| 事業用の旅客自動車 | 1年 | 1年 |
| 自家用乗用自動車 | 3年 | 2年 |
並べてみると、事業用はほぼ毎年だと分かります。自家用の乗用車が初回3年・以降2年であることと比べると、頻度がまるで違う。この差は、走行距離と積載の重さから来ています。8トン未満の初回だけ2年になるのは、比較的軽い車の新車に限った緩和です。
自動車検査証の有効期間は、旅客を運送する自動車運送事業の用に供する自動車、貨物の運送の用に供する自動車及び国土交通省令で定める自家用自動車であつて、検査対象軽自動車以外のものにあつては一年、その他の自動車にあつては二年とする。ただし、初めて自動車検査証の交付を受ける場合であつて、車両総重量八トン未満の貨物の運送の用に供する自動車等にあつては二年、自家用乗用自動車等にあつては三年とする。
備付けと、検査標章
自動車は、自動車検査証を備え付け、かつ検査標章を表示しなければ運行の用に供してはなりません(第66条)。備え付けるのは車検証、表示するのは検査標章。この二つは別のものです。検査標章にはその交付の際の有効期間の満了する時期が表示され、標章の有効期間は車検証の有効期間と同一です。車検証が失効したときは、標章を表示してはなりません。
そして記録事項に変更があったときは、その事由があった日から15日以内に、国土交通大臣が行う自動車検査証の変更記録を受ける必要があります(第67条第1項)。登録の側の変更登録(3-02)と同じ日数で、実務では同時に処理されます。
SECTION 2現場ではこう現れる
電子車検証では、有効期間が券面に印刷されません
令和5年1月4日以降の手続で交付されるものは、電子車検証になりました。A6サイズの厚紙にICタグが埋め込まれた形です。ここで実務が変わったのは、有効期間の満了する日が券面に印刷されなくなったことです。ICタグに記録されており、車検証閲覧アプリで読み取るのが基本の形になります。移行期には窓口で「自動車検査証記録事項」という紙が配られていましたが、これは補助的な書面で、券面記載事項に変更のない手続(継続検査など)の分は2025年12月末で配布が終わっています。
券面(印刷されている)
- 自動車登録番号/車両番号
- 車台番号
- 交付年月日
- 使用者の氏名または名称
- 車名・型式・自動車の種別
- 長さ/幅/高さ、車体の形状
- 乗車定員/最大積載量
- 車両重量/車両総重量
- 自家用・事業用の別、用途
- 初度登録年月/初度検査年月
ICタグ(券面に出ない)
- 自動車検査証の有効期間の満了する日
- 所有者の氏名・住所
- 使用者の住所
- 使用の本拠の位置
読むには
- 車検証閲覧アプリでICタグを読む
- 検査標章にも満了する時期は表示される(第66条第3項)
期限が券面から消えた、というのが実務上いちばん大きい変化です。車検証をめくって期限を確かめる、という以前のやり方が使えません。車両ごとの期限表を別に持つ必要があります。
10台、20台とある会社では、これは管理のしかたを変える話になります。車両番号・車検の満了日・次の3か月点検の予定日を並べた一覧を作り、月初に見る。紙でも表計算でも構いませんが、車検証をめくれば分かる、という状態ではなくなったことは押さえておく必要があります。
備付けの義務は変わっていません
電子車検証になっても、運行時に車検証を備え付ける義務は変わりません。備え付けるのは電子車検証そのものです。「自動車検査証記録事項」の書面には備付けの義務はありませんから、その紙を車に置いて電子車検証を事務所に保管——という運用にしてしまうと、備付け義務を満たさないことになります。逆に、期限の確認のために記録事項の写しを事務所に置いておくのは差し支えありません。
SECTION 3不備だと、何が起きるか
車検切れは、その運行がまるごと違反になります
車検証の有効期間が切れた自動車を運行させれば、無車検運行です。道路運送車両法違反であるだけでなく、自賠責保険も車検と同じ期間で掛けていることが多いため、無保険運行が同時に成立してしまうことがあります。事故が起きたときの影響は、記録の不備とは比べものになりません。
事業の側でも、監査では車検証の有効期間が車両の一覧と突き合わせて確認されます。1台でも切れていれば、車両管理の体制そのものが問われます。期限の管理は、点呼や日報と並ぶ日常の管理です。年に1回しか来ない期限だからこそ、仕組みで拾う必要があります。
車検が切れているのに気づいたが、その車を工場まで自走させる。——公道を走れば無車検運行です。仮ナンバー(臨時運行許可)を取るか、積載車で運ぶかのどちらかになります。もう一つ、電子車検証になってから「期限が分からないので、前の紙の車検証を見て管理している」という運用。前の車検証は失効していますから、期限が実際と食い違います。車検証閲覧アプリか、車に貼ってある検査標章で、いまの期限を確かめてください。
確認の一問一答
貨物の運送の用に供する自動車で、車両総重量が8トン未満のものについて、初めて自動車検査証の交付を受ける場合の有効期間は何年か。また、2回目以降は。
初回は2年、2回目以降は1年です。車両総重量8トン以上のものは、初回から1年です。
自動車検査証の記録事項に変更があったとき、使用者はいつまでに何を受けなければならないか。
その事由があった日から15日以内に、国土交通大臣が行う自動車検査証の変更記録を受けなければなりません(法第67条第1項)。登録の側の変更登録と同じ日数です。
電子車検証について、自動車検査証の有効期間の満了する日はどこに記録されているか。
ICタグに記録されており、券面には印刷されていません。車検証閲覧アプリで読み取って確認します。なお、運行時に備え付けるのは電子車検証そのもので、「自動車検査証記録事項」の書面に備付けの義務はありません。