CHAPTER 2 ── 2-12
年次有給休暇と健康診断
— 年5日の時季指定と、6か月ごとの健康診断
年次有給休暇は、雇入れの日から6か月継続勤務し全労働日の8割以上出勤した労働者に10労働日。以後、勤続年数に応じて増えます。10日以上付与された労働者には、年5日について使用者が時季を定めて与える義務があります。健康診断は、深夜業を含む業務に常時従事する労働者について6か月以内ごとに1回。深夜業が勤務に組み込まれている運転者はここに当たりますから、年1回では足りません。
SECTION 1試験ではこう問われる
6か月・8割・10労働日。そこから勤続年数で増える
年次有給休暇は、雇入れの日から起算して6か月間継続勤務し、全労働日の8割以上出勤した労働者に、継続し、または分割した10労働日を与えます。以後は勤続年数に応じて日数が増え、6年6か月以上で20日に達します。設問では、この最初の要件(6か月・8割・10日)と、加算の頭(1年6か月で11日)が問われることが多い。
| 継続勤務期間 | 付与日数 |
|---|---|
| 6か月 | 10労働日 |
| 1年6か月 | 11労働日 |
| 2年6か月 | 12労働日 |
| 3年6か月 | 14労働日 |
| 4年6か月 | 16労働日 |
| 5年6か月 | 18労働日 |
| 6年6か月以上 | 20労働日 |
もう一つが年5日の時季指定義務です。年次有給休暇が10労働日以上与えられる労働者については、そのうち5日について、使用者が基準日から1年以内の期間に、労働者ごとに時季を定めて与えなければならない。労働者が自分で請求して取得した日数や、計画的付与によって与えた日数は、その分だけ時季指定を要しないことになります(5日を超える場合は5日を限度)。
使用者は、その雇入れの日から起算して六箇月間継続勤務し全労働日の八割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した十労働日の有給休暇を与えなければならない。使用者は、有給休暇の日数のうち五日については、基準日から一年以内の期間に、労働者ごとにその時季を定めることにより与えなければならない。
健康診断 ── 運転者は6か月以内ごとに1回
健康診断は労働安全衛生法の側の義務です。一般の定期健康診断は1年以内ごとに1回ですが、深夜業を含む業務に常時従事する労働者については、配置替えの際および6か月以内ごとに1回、定期に健康診断を行わなければなりません(労働安全衛生規則第45条、特定業務従事者の健康診断)。深夜業が勤務の形として組み込まれている運転者はここに当たりますから、年1回では足りないことになります。「常時従事する」かどうかは、たまたま夜間に走った日があるかではなく、勤務の組み方として深夜業が入っているかで判断します。
SECTION 2現場ではこう現れる
年5日は、運行計画に先に入れておく
年5日の時季指定義務は、運送業では特に効きます。運転者が自分から休みを申し出にくい職場では、年度末になって「あと4日」という人がまとめて出てきます。基準日ごとに管理簿を作り、期の初めに5日分を仮に置いておく——この形にしておくと、配車の側でも織り込めます。年休の取得状況は、労働者ごとに年次有給休暇管理簿を作成して3年間保存することとされています。
健康診断についても、受診の時期を運行計画に入れておくのが実務です。6か月以内ごとという頻度は、忘れると簡単に外れます。受診日と次回予定日を運転者等台帳(1-14)と並べて持っておくと、選任・講習・健康診断の三つを一つの表で追えるようになります。
- ✓基準日◯年10月1日
- ✓当期の付与日数14日
- ✓取得済(うち時季指定)6日(2日)
- ✓年5日の達成達成
- ✓健康診断 受診日◯年8月20日
- ✓次回の期限(6か月以内)◯年2月19日
この6行を運転者ごとに並べれば、年休管理簿と健診の管理を一枚で兼ねられます。次回の期限を書いておくのが要点で、受診日だけだと期限が見えません。
健康起因の事故と、記録のつながり
健康診断は、労働者の健康を守るための制度であると同時に、運行の安全に直結します。事業者は乗務員等の健康状態の把握に努め、疾病・疲労・睡眠不足その他の理由により安全に運行の業務を遂行できないおそれがある者を業務に従事させてはならないとされています(輸送安全規則第3条)。点呼での確認(1-05)は、健康診断の結果という土台があってはじめて意味を持ちます。健康起因の事故が起きたとき、受診記録と点呼記録の両方が確認されるのは、このつながりがあるためです。
SECTION 3不備だと、何が起きるか
年5日は、労働者1人につき1件の違反として数えられます
年5日の時季指定義務に違反した場合、罰則の対象となります。しかも、違反は労働者ごとに数えられるという点が、他の項目と異なります。10人が達成できていなければ、10件です。年度末にまとめて休ませようとしても、運行が回らなければ結局取れません。期の初めから置いておくしかない、というのはそのためです。
健康診断を実施していない場合も、労働安全衛生法違反として指摘されます。加えて、巡回指導では健康診断の受診状況が確認項目に入っています。実施していない、あるいは深夜業の運転者について年1回しか実施していない——この二つは、比較的よく見つかる不備です。
年度末に、休んでいない運転者の年休を「取得したことにして」管理簿に記入する。健康診断を受けていない運転者について、前回の結果を写して次年度の記録にする。——年休は賃金台帳の支払実績と、健診は医療機関の記録と突き合わせれば分かります。取れていないなら取れていないものとして、翌期の計画に5日を先に置く。受けていないなら、いま受診の予定を入れる。どちらも、遡って書類を整えるより早く片づきます。
確認の一問一答
年次有給休暇は、雇入れの日から起算して何か月間継続勤務し、全労働日の何割以上出勤した労働者に、何労働日与えられるか。
6か月間継続勤務し、全労働日の8割以上出勤した労働者に、継続しまたは分割した10労働日です。以後は勤続年数に応じて増え、6年6か月以上で20労働日となります。
年次有給休暇が10労働日以上与えられる労働者について、使用者が時季を定めて与えなければならない日数は何日か。また、いつまでに与えるか。
5日を、基準日から1年以内の期間に与えます。労働者自身の請求により取得した日数や計画的付与により与えた日数がある場合は、その日数分(5日を超えるときは5日を限度)について時季指定を要しません。
深夜業を含む業務に常時従事する労働者に対して行う健康診断の頻度は。
配置替えの際および6か月以内ごとに1回、定期に行います(労働安全衛生規則第45条)。一般の定期健康診断の1年以内ごとに1回とは異なりますので、深夜業に常時従事する運転者について年1回としていないか確認が必要です。