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運行管理の教科書 / 第2章 改善基準告示・労働基準法 / 2-05

CHAPTER 2 ── 2-05

運転時間
— 2日平均9時間・2週平均44時間の数え方

公開 2026.09.07 内容の確認日 2026.09.07 読了目安 8分
試験 頻出第2章 運転時間

運転時間は、2日を平均して1日あたり9時間、2週間を平均して1週間あたり44時間を超えないこと。ここでいう「2日」は始業時刻から48時間です。試験でよく問われるのは、特定の日が違反かどうかを判定する場面。前日と組んだ48時間と、翌日と組んだ48時間の両方で9時間を超えたときにはじめて違反になる、という数え方を持っているかどうかで正答率が変わります。

SECTION 1試験ではこう問われる

「特定の日」だけを見ても、違反かどうかは決まらない

運転時間の枠は二つです。2日を平均して1日あたり9時間、2週間を平均して1週間あたり44時間。数値そのものは短いのですが、設問が難しくなるのは「2日を平均する」の数え方が独特だからです。ここでいう2日とは、始業時刻から起算して48時間(2-02)。そして、ある日が違反かどうかを見るときは、その日と前日を組んだ平均と、その日と翌日を組んだ平均の両方を計算します。

判定はこうです。特定の日の前日と組んだ2日平均、および特定の日の翌日と組んだ2日平均。この両方が9時間を超えたときに、特定の日が違反になります。どちらか一方だけが9時間を超えている場合は、その日についての違反にはなりません。一方だけで違反にすると、長く運転した日の前後2日がまとめて違反になってしまうためです。

例1 ── 違反にならない 前日 9h 特定日 10h 翌日 8h (9+10)÷2 = 9.5h > 9h (10+8)÷2 = 9h = 9h(超えていない) → 両方が超えたわけではないので、特定日は違反にならない 例2 ── 違反になる 前日 10h 特定日 10h 翌日 10h 前後どちらの組み合わせでも10h > 9h → 特定日は違反
図 2-05-12日平均は、前日と組んだ平均・翌日と組んだ平均の両方で見ます。設問では例1の形が出て、「違反である」と誤らせにきます。
根拠 ── 自動車運転者の労働時間等の改善のための基準 第4条第1項第6号

運転時間は、2日(始業時刻から起算して48時間をいう。次条において同じ。)を平均し1日当たり9時間、2週間を平均し1週間当たり44時間を超えないものとすること。

2週平均44時間は、2週間で88時間

もう一つの枠は、2週間を平均して1週間あたり44時間。言い換えれば2週間の運転時間の合計が88時間以内ということです。こちらは日ごとの判定ではなく期間の合計ですから、計算は素直です。ただし、2週間をどこで区切るかは決めておく必要があります。特定の日を起算日として、そこから2週間ごとに区切って見ていきます。

SECTION 2現場ではこう現れる

運転時間は、拘束時間とは別に拾う必要があります

拘束時間は点呼の時刻から計算できますが、運転時間はそうはいきません。荷待ち、荷役、休憩は拘束時間には入っても運転時間には入りませんから、実際にハンドルを握っていた時間だけを取り出す必要があります。運行記録計(1-12)を装着している車両なら記録から拾えますが、装着義務のない車両では日報の記載が頼りになります。

ここで実務上の分かれ目になるのが、日報の様式です。出庫・帰庫の時刻しか書く欄がない日報だと、運転時間は推定するしかありません。主な経過地点と、そこに着いた時刻・出た時刻を書かせる様式にしておくと、荷待ちと運転が分離できます。業務記録に求められている記載事項(1-11)を素直に並べれば、そのまま運転時間が拾える様式になります。

運転時間の拾い方(1日分)◯月◯日/車番 熊本100か◯◯◯◯
  • ✓拘束時間(点呼から点呼まで)13時間10分
  • ✓うち 荷待ち1時間40分
  • ✓うち 荷役作業1時間20分
  • ✓うち 休憩1時間00分
  • ✓うち 点呼・点検・日報記入40分
  • ✓運転時間8時間30分

拘束13時間10分でも、運転は8時間30分。ここが分けられていないと、拘束時間は枠内なのに運転時間で外れている、あるいはその逆、という状態に気づけません。

拘束時間と運転時間は、別々に外れます

荷待ちが長い運行は、拘束時間が伸びる一方で運転時間は短い。長距離を一気に走る運行は、拘束時間に余裕があっても運転時間が9時間を超える。どちらか一方だけを管理していると、もう一方で外れます。集計表には拘束時間の欄と運転時間の欄を並べて置く。この二列があるだけで、運行の性格の違いが数字で見えるようになります。

SECTION 3不備だと、何が起きるか

運転時間の超過は、過労運転の話につながります

運転時間が2日平均で9時間を超え続けている状態は、そのまま疲労の蓄積を意味します。事故が起きたとき、運行記録計の記録と日報から運転時間が再構成され、輸送安全規則の過労運転の防止(第3条)と突き合わされます。改善基準告示の違反が、事業法上の義務違反の裏づけとして使われる——これが運転時間の枠のもう一つの顔です。

また、運転時間は運行計画そのものの問題です。片道500キロの運行を日帰りで組めば、運転時間は必ず9時間に近づきます。それを毎日続ければ2日平均で外れる。個々の日の違反として直すのではなく、その運行をどう組むか——2人乗務にするか、中継輸送にするか、宿泊を挟むか——という設計の問題として扱わないと、同じことが繰り返されます。

やってはいけない直し方

運転時間が長い日を、日報の上で休憩を増やして短く見せる。運行記録計の記録を出さずに日報だけで説明する。——運行記録計の記録は1年間保存する義務があり(1-12)、日報と食い違えば、そこから他の記録も疑われます。運転時間が枠に収まらない運行は、運行のほうを組み替えるしかありません。数字を動かすのではなく、運行を動かす。順序が逆になると、記録の信頼を失うぶんだけ状況が悪くなります。

確認の一問一答

運転時間は、2日を平均し1日当たり◯時間、2週間を平均し1週間当たり◯時間を超えないものとされている。◯に入る数字は。

順に9時間、44時間です。2週間を平均して1週間当たり44時間は、2週間の運転時間の合計が88時間以内ということでもあります。

ある運転者の運転時間が、前日9時間、特定日10時間、翌日8時間であった。特定日は改善基準告示に違反するか。

違反しません。前日と組んだ2日平均は9.5時間で9時間を超えますが、翌日と組んだ2日平均は9時間ちょうどで超えていません。両方が9時間を超えたときにはじめて、特定日が違反となります。

改善基準告示における「2日」とは、何を指すか。

始業時刻から起算して48時間をいいます。暦日で2日ではありません。「1日」が始業時刻から24時間であるのと同じ考え方です。

根拠自動車運転者の労働時間等の改善のための基準 第4条第1項第6号/自動車運転者の労働時間等の改善のための基準の一部改正等について(令和4年12月23日 基発1223第3号)/改善基準告示(令和6年4月1日適用)に関するQ&A(厚生労働省)
確認本記事は告示・通達および厚生労働省の公表資料にもとづき作成し、記載の確認日時点の制度を反映しています。改善基準告示の運用は解釈通達とQ&Aで補われており、個別の運行がどの規定にあたるかは事案ごとに判断が必要です。実際の運行計画づくりの際は最新の通達および労働基準監督署・運輸支局の案内をご確認のうえ、個別の判断は必ずご相談ください。

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