CHAPTER 2 ── 2-05
運転時間
— 2日平均9時間・2週平均44時間の数え方
運転時間は、2日を平均して1日あたり9時間、2週間を平均して1週間あたり44時間を超えないこと。ここでいう「2日」は始業時刻から48時間です。試験でよく問われるのは、特定の日が違反かどうかを判定する場面。前日と組んだ48時間と、翌日と組んだ48時間の両方で9時間を超えたときにはじめて違反になる、という数え方を持っているかどうかで正答率が変わります。
SECTION 1試験ではこう問われる
「特定の日」だけを見ても、違反かどうかは決まらない
運転時間の枠は二つです。2日を平均して1日あたり9時間、2週間を平均して1週間あたり44時間。数値そのものは短いのですが、設問が難しくなるのは「2日を平均する」の数え方が独特だからです。ここでいう2日とは、始業時刻から起算して48時間(2-02)。そして、ある日が違反かどうかを見るときは、その日と前日を組んだ平均と、その日と翌日を組んだ平均の両方を計算します。
判定はこうです。特定の日の前日と組んだ2日平均、および特定の日の翌日と組んだ2日平均。この両方が9時間を超えたときに、特定の日が違反になります。どちらか一方だけが9時間を超えている場合は、その日についての違反にはなりません。一方だけで違反にすると、長く運転した日の前後2日がまとめて違反になってしまうためです。
運転時間は、2日(始業時刻から起算して48時間をいう。次条において同じ。)を平均し1日当たり9時間、2週間を平均し1週間当たり44時間を超えないものとすること。
2週平均44時間は、2週間で88時間
もう一つの枠は、2週間を平均して1週間あたり44時間。言い換えれば2週間の運転時間の合計が88時間以内ということです。こちらは日ごとの判定ではなく期間の合計ですから、計算は素直です。ただし、2週間をどこで区切るかは決めておく必要があります。特定の日を起算日として、そこから2週間ごとに区切って見ていきます。
SECTION 2現場ではこう現れる
運転時間は、拘束時間とは別に拾う必要があります
拘束時間は点呼の時刻から計算できますが、運転時間はそうはいきません。荷待ち、荷役、休憩は拘束時間には入っても運転時間には入りませんから、実際にハンドルを握っていた時間だけを取り出す必要があります。運行記録計(1-12)を装着している車両なら記録から拾えますが、装着義務のない車両では日報の記載が頼りになります。
ここで実務上の分かれ目になるのが、日報の様式です。出庫・帰庫の時刻しか書く欄がない日報だと、運転時間は推定するしかありません。主な経過地点と、そこに着いた時刻・出た時刻を書かせる様式にしておくと、荷待ちと運転が分離できます。業務記録に求められている記載事項(1-11)を素直に並べれば、そのまま運転時間が拾える様式になります。
- ✓拘束時間(点呼から点呼まで)13時間10分
- ✓うち 荷待ち1時間40分
- ✓うち 荷役作業1時間20分
- ✓うち 休憩1時間00分
- ✓うち 点呼・点検・日報記入40分
- ✓運転時間8時間30分
拘束13時間10分でも、運転は8時間30分。ここが分けられていないと、拘束時間は枠内なのに運転時間で外れている、あるいはその逆、という状態に気づけません。
拘束時間と運転時間は、別々に外れます
荷待ちが長い運行は、拘束時間が伸びる一方で運転時間は短い。長距離を一気に走る運行は、拘束時間に余裕があっても運転時間が9時間を超える。どちらか一方だけを管理していると、もう一方で外れます。集計表には拘束時間の欄と運転時間の欄を並べて置く。この二列があるだけで、運行の性格の違いが数字で見えるようになります。
SECTION 3不備だと、何が起きるか
運転時間の超過は、過労運転の話につながります
運転時間が2日平均で9時間を超え続けている状態は、そのまま疲労の蓄積を意味します。事故が起きたとき、運行記録計の記録と日報から運転時間が再構成され、輸送安全規則の過労運転の防止(第3条)と突き合わされます。改善基準告示の違反が、事業法上の義務違反の裏づけとして使われる——これが運転時間の枠のもう一つの顔です。
また、運転時間は運行計画そのものの問題です。片道500キロの運行を日帰りで組めば、運転時間は必ず9時間に近づきます。それを毎日続ければ2日平均で外れる。個々の日の違反として直すのではなく、その運行をどう組むか——2人乗務にするか、中継輸送にするか、宿泊を挟むか——という設計の問題として扱わないと、同じことが繰り返されます。
運転時間が長い日を、日報の上で休憩を増やして短く見せる。運行記録計の記録を出さずに日報だけで説明する。——運行記録計の記録は1年間保存する義務があり(1-12)、日報と食い違えば、そこから他の記録も疑われます。運転時間が枠に収まらない運行は、運行のほうを組み替えるしかありません。数字を動かすのではなく、運行を動かす。順序が逆になると、記録の信頼を失うぶんだけ状況が悪くなります。
確認の一問一答
運転時間は、2日を平均し1日当たり◯時間、2週間を平均し1週間当たり◯時間を超えないものとされている。◯に入る数字は。
順に9時間、44時間です。2週間を平均して1週間当たり44時間は、2週間の運転時間の合計が88時間以内ということでもあります。
ある運転者の運転時間が、前日9時間、特定日10時間、翌日8時間であった。特定日は改善基準告示に違反するか。
違反しません。前日と組んだ2日平均は9.5時間で9時間を超えますが、翌日と組んだ2日平均は9時間ちょうどで超えていません。両方が9時間を超えたときにはじめて、特定日が違反となります。
改善基準告示における「2日」とは、何を指すか。
始業時刻から起算して48時間をいいます。暦日で2日ではありません。「1日」が始業時刻から24時間であるのと同じ考え方です。