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運行管理の教科書 / 第5章 実務上の知識及び能力 / 5-12

CHAPTER 5 ── 5-12

記録する機器
— 運行記録計、ドライブレコーダー、そして装置への過信

公開 2026.09.08 内容の確認日 2026.09.08 読了目安 9分
試験 頻出巡回指導 重点第5章 事故を防ぐ手立て

運行記録計は、車両総重量7トン以上または最大積載量4トン以上の事業用自動車に義務づけられており、記録は1年間保存します。ドライブレコーダーには装着の義務がありませんが、指導の材料としては運行記録計より強い。そして衝突被害軽減ブレーキ。装置があることを前提にした運転をさせないための指導が、指針の12番目の項目に置かれています。

SECTION 1試験ではこう問われる

義務のあるものと、ないもの

車に載る機器のうち、装着が義務づけられているのは運行記録計だけです。ドライブレコーダーにも衝突被害軽減ブレーキにも、事業者に対して後付けを義務づける規定はありません。ここを分けて持っておくと、設問で迷いません。

三つの機器の立ち位置義務/記録/指導
運行記録計
規則第9条
次の事業用自動車について、瞬間速度・運行距離・運行時間を記録し、記録を1年間保存する
① 車両総重量7トン以上または最大積載量4トン以上の普通自動車 ② ①に該当する被牽引自動車を牽引する牽引自動車 ③ 特別積合せ貨物運送に係る運行系統に配置する事業用自動車
ドライブレコーダー 装着の義務はない。国土交通省が「ドライブレコーダーの映像を活用した指導・監督マニュアル」を出しており、記録した映像を教育に使う方法が示されている
衝突被害軽減ブレーキ等 保安基準により新車の製作段階で段階的に義務づけられてきたもの。事業者に後付けを義務づけるものではない。指針の第12項が、装置を備えた車の適切な運転方法の指導を求めている

保存期間の1年に注意してください。指導及び監督の記録は3年(5-03)、点呼記録簿は1年(1-05)、事故の記録は3年(1-15)。記録によって年数が違います。設問はここを入れ替えて作られます。

運行記録計の装着範囲は、車両総重量7トン「以上」または最大積載量4トン「以上」。境目の数値をずらす形、「または」を「かつ」にする形で誤りが作られます。どちらか一方を満たせば対象です。

SECTION 2現場ではこう現れる

取っている記録を、見ているかどうか

デジタル式の運行記録計を入れている事業所は多く、記録は自動的にたまっていきます。ところがそれを見る時間が業務のどこにも入っていないことがある。取っているが見ていない——これがいちばんもったいない状態です。記録は、日報と突き合わせて初めて意味を持ちます。

突き合わせて分かるのは、たとえばこういうことです。日報の終業時刻より運行記録計の停止時刻が遅い。特定の区間だけ速度が高い。急ブレーキが同じ交差点で繰り返し記録されている。最後のものは、道路の側に原因がある可能性を示します。運転者の問題ではなく、経路の問題として扱えることがある。

記録を見る手順(週に1回・30分)◯年◯月/熊本東営業所
  • ✓① 日報と運行記録計の時刻を照合全便
  • ✓② 速度超過の記録を抽出該当者と面談
  • ✓③ 急ブレーキの場所を地図に落とす経路の見直し
  • ✓④ 教育に使う映像を1本選ぶ翌月の教育へ

④が効きます。自社の車の、自社の経路の映像は、市販の教材よりはるかに伝わります。指導及び監督の第8項「危険の予測及び回避」の材料としてそのまま使え、記録にも「◯月◯日の◯◯交差点の映像を使用」と書けます(5-03)。

映像を使うときの気をつけ方

ヒヤリとした場面の映像を全員の前で流すとき、誰の運転かが分かる形にしないことです。責める材料になると、次から報告が上がらなくなります。「この場面で、自分ならどうしますか」と問う形にすると、同じ映像が学びの材料になります。ヒヤリハットの報告を集めたいなら、まず報告して不利にならない運用を作ることが先です。

装置への過信

衝突被害軽減ブレーキは、被害を軽減するものであって、必ず止まれるものではありません。天候や対象、速度によっては作動しないこともあります。指針の第12項が置かれているのは、装置があることを前提にした運転をさせないためです。装置の付いた車に乗り換えたときこそ、この指導を入れる機会になります。

SECTION 3不備だと、何が起きるか

記録がないことと、見ていなかったことは別々に問われます

運行記録計の記録がない、あるいは1年分そろっていなければ、規則第9条の違反です。これは巡回指導でも監査でも確認される項目です。機器が故障したまま走らせていた期間があれば、そこも問われます。

そして事故のあとには、記録に現れていた兆候を会社が見ていたかが問われます。速度超過が続けて記録されていたのに指導していない、同じ運転者に急ブレーキが集中していたのに面談していない。記録があるぶん、見ていなかったことがはっきり分かってしまう——これがデジタル機器の両面性です。

やってはいけない直し方

速度超過の記録が出た運転者に、罰金や賞与の減額で対応する。ドライブレコーダーの映像を、事故のときだけ確認する。——一つめは、記録を消したり機器を切ったりする動機を作ります。数字が出なくなるだけで、運行は変わりません。二つめは、事故を防ぐ材料として使えていない状態です。週に30分でも、平時に見る時間を業務に入れる。それができないなら、記録を取る意味の半分は失われています。

確認の一問一答

運行記録計の装着が義務づけられる事業用自動車の範囲を答えよ。また、記録は何を何年間保存するか。

車両総重量7トン以上または最大積載量4トン以上の普通自動車、これに該当する被牽引自動車を牽引する牽引自動車、および特別積合せ貨物運送に係る運行系統に配置する事業用自動車です。瞬間速度、運行距離、運行時間を記録し、その記録を1年間保存します(規則第9条)。

ドライブレコーダーの装着は義務づけられているか。

事業用自動車への装着を義務づける規定はありません。ただし国土交通省が「ドライブレコーダーの映像を活用した指導・監督マニュアル」を出しており、記録した映像を指導及び監督に活用する方法が示されています。

衝突被害軽減ブレーキを備えた事業用自動車について、指導監督指針はどのような指導を求めているか。

第12項「安全性の向上を図るための装置を備える事業用自動車の適切な運転方法」として、装置の機能と限界を理解させ、装置があることを前提にした運転をさせないための指導を求めています。

根拠貨物自動車運送事業輸送安全規則 第9条(運行記録計による記録)/指導及び監督の指針(平成13年国土交通省告示第1366号)第一章 第12項/国土交通省「ドライブレコーダーの映像を活用した指導・監督マニュアル」
確認本記事は法令の条文および国土交通省・厚生労働省・警察庁の公表資料にもとづき作成し、記載の確認日時点の制度を反映しています。指針・マニュアル・ガイドラインの類は改訂されることがあり、物理や生理に関する用語には公的な定義が置かれていないものもあります。実際の運用にあたっては最新の告示・公表資料をご確認のうえ、個別の判断は必ずご相談ください。

この帳票、自社では回っていますか。

記録は取っているが見ていない、という状態が惜しいところです。日報との突き合わせの手順づくりからご相談に乗れます。 運送業の帳票点検・巡回指導対応・顧問を、お引き受けしています。

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