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運行管理の教科書 / 第5章 実務上の知識及び能力 / 5-13

CHAPTER 5 ── 5-13

総点検
— 第1章から第4章までを、1枚に戻す

公開 2026.09.08 内容の確認日 2026.09.08 読了目安 10分
巡回指導 重点第5章 まとめ

ここまでの五つの章を、一つの営業所の一日に並べ直します。朝の点呼から、運行の指示、日中の記録、帰着の点呼、月末の集計、年に一度の教育計画と健康診断まで。条文は分野ごとに書かれていますが、現場では同じ一日の中で交差します。どの帳票がどの条文に対応しているかを一覧にしておくと、巡回指導の通知が来ても慌てません。

SECTION 1試験ではこう問われる

帳票と条文の、対応表を持つ

試験では分野ごとに問われますが、現場では一つの営業所にすべてが同時にあります。どの帳票が、どの条文にもとづき、何年残すのか——これを一覧にしておくと、巡回指導の通知が来ても、運行管理者が交代しても、たどれます。保存年限は1年と3年が混ざっているので、ここだけでも表にする値打ちがあります。

帳票と条文の対応表第1章〜第5章のまとめ
点呼記録簿酒気帯び・疾病・疲労・睡眠不足・日常点検の確認を記録。1年保存輸送安全規則 第7条/1-05・5-07
業務の記録(運転日報)業務の開始・終了、休憩、走行距離、荷待ちの時間など。1年保存輸送安全規則 第8条/1-11
運行記録計の記録瞬間速度・運行距離・運行時間。車両総重量7トン以上または最大積載量4トン以上等。1年保存輸送安全規則 第9条/5-12
事故の記録人身・物損を問わず、事故の概要・原因・再発防止対策。3年保存輸送安全規則 第9条の2/1-15
指導及び監督の記録一般的な指導(12項目)と特別な指導。3年保存輸送安全規則 第10条/5-03・5-04
運転者等台帳免許の種類・番号・条件、事故歴、指導の状況。運転者でなくなった日から3年輸送安全規則 第9条の5/1-14・4-10
点検整備記録簿定期点検の年月日・結果・整備の概要など。1年保存(車両により異なる)道路運送車両法 第49条/3-06
健康診断の記録定期は1年以内ごと、深夜業を含む業務は6か月以内ごと。所見への措置も残す労働安全衛生規則 第44条・第45条/5-05
拘束時間・運転時間の集計1日の拘束時間、2日平均の運転時間、1か月の拘束時間改善基準告示/第2章・5-02

保存年限は1年のものと3年のものに分かれます。1年=点呼記録簿・日報・運行記録計・点検整備記録簿。3年=事故の記録・指導監督の記録・運転者等台帳。この分け方で覚えると、設問で入れ替えられても気づけます。

SECTION 2現場ではこう現れる

一年の暦に、周期のあるものを並べる

毎日やること、3か月ごとにやること、6か月ごと、年に1回。周期の違うものが並行して走っているのが、運送業の一年です。暦にしておくと、抜けたときに気づけます。

一年の周期(4月はじまりで組んだ場合) 日常点検 1日1回、その運行の開始前に(法第47条の2) 定期点検 3か月 3か月 3か月 3か月 車検 健康診断 6か月 6か月 深夜業を含む業務の場合 教育 12項目を年間で割る 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 このほか、随時に起きるもの ── 採用時(初任診断・15時間+20時間)、事故のとき、65歳のとき
図 5-13-1周期のあるものは、暦に落とせば抜けません。落とせないのは、採用・事故・年齢という随時に起きるものです。こちらは台帳を見る習慣で拾います。

随時に起きるものを、どう拾うか

暦に置けないのが三つあります。採用したとき(初任診断と、座学15時間・実技20時間/5-04)、事故を起こしたとき(特定診断と特別な指導、事故の記録/1-15・4-09・5-04)、65歳になったとき(適齢診断/5-04)。どれも、起きてから期限が動き出します。

拾い方は一つで、運転者等台帳を月に一度めくることです。生年月日が入っていますから、今年65歳になる人が分かります。採用日が入っていますから、初任の指導が終わっているかも分かります。台帳は、作って仕舞う書類ではなく、毎月見る書類——そう位置づけると、この三つは拾えます。

SECTION 3不備だと、何が起きるか

巡回指導の通知は、だいたい一か月前に来ます

適正化事業実施機関の巡回指導は、事前に通知があり、そのときに準備する書類の一覧が示されます。一か月あれば、足りない記録に気づけます。ただし、気づいてから作れるものと、作れないものがあります。これから記録を残すことはできても、過去にさかのぼって作ることはできません。

この章の対応表は、通知が来てから作るのでは間に合いません。平時に一枚作っておき、四半期に一度、抜けがないか見る。それだけで、通知が来たときにやることは「確認」だけになります。準備ではなく確認で済む状態を作っておくのが、この一覧の目的です。

やってはいけない直し方

巡回指導の通知が来てから、足りない記録をまとめて作る。——これがいちばん多く、いちばん危ない直し方です。日付をさかのぼって作られた記録は、他の記録と突き合わせれば分かります。点呼記録簿の筆跡が全部同じ、教育記録の署名が同じ日に集まっている、日報と運行記録計の時刻が合わない。記録の不備より、記録の作り替えのほうが重く扱われます。足りないものは足りないと申告し、その日から始める。これは実務で繰り返し確かめられることです。

この教科書の使い方

第1章から第5章まで、66本を並べてきました。試験のためであれば、章の順に読むのが早い。実務のためであれば、いま自社で足りていない帳票の記事から読むほうが役に立ちます。どの記事にも、末尾に根拠となる条文を置いてあります。条文にあたるところまでを、記事の役目と考えて書きました。

確認の一問一答

保存期間が1年のものと3年のものを、それぞれ二つずつ挙げよ。

1年は点呼記録簿、業務の記録(運転日報)、運行記録計の記録など。3年は事故の記録、指導及び監督の記録、運転者等台帳(運転者でなくなった日から3年)などです。

暦に置けない、随時に起きる手続を三つ挙げよ。

①運転者を採用したとき(初任診断、座学15時間以上と実技20時間以上の特別な指導)、②事故を起こしたとき(特定診断、特別な指導、事故の記録)、③65歳になったとき(適齢診断とその結果に基づく指導)です。

巡回指導の通知を受けてから記録を整えるとき、してはならないことは何か。

過去にさかのぼって記録を作ることです。他の記録との突き合わせで判明し、記録の不備より重く扱われます。足りないものは申告し、その時点から正しく記録を始めるほかありません。

根拠貨物自動車運送事業法/貨物自動車運送事業輸送安全規則/改善基準告示/道路運送車両法/道路交通法(各章の根拠条文を参照)
確認本記事は法令の条文および国土交通省・厚生労働省・警察庁の公表資料にもとづき作成し、記載の確認日時点の制度を反映しています。指針・マニュアル・ガイドラインの類は改訂されることがあり、物理や生理に関する用語には公的な定義が置かれていないものもあります。実際の運用にあたっては最新の告示・公表資料をご確認のうえ、個別の判断は必ずご相談ください。

この帳票、自社では回っていますか。

帳票と条文の対応表を自社の形に合わせて作ると、引き継ぎと巡回指導の両方に効きます。作成をお引き受けしています。 運送業の帳票点検・巡回指導対応・顧問を、お引き受けしています。

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