CHAPTER 2 ── 2-09
2人乗務・隔日勤務・フェリー
— 残る三つの特例
特例の残り三つです。2人乗務は、身体を伸ばして休息できる設備があれば拘束20時間・休息4時間まで、ベッドに準ずる設備と11時間以上の休息を組めば24時間、8時間以上の仮眠を与えれば28時間まで。隔日勤務は2暦日21時間が基本で、仮眠を条件に24時間まで。フェリー乗船時間は原則として休息期間として扱います。数値が多い分、条件とセットで覚えるのが早道です。
SECTION 1試験ではこう問われる
2人乗務は「設備が何か」で20・24・28時間に分かれる
2人乗務の特例は、数値だけを並べると覚えにくいのですが、車内の設備と、与える休息期間・仮眠で三段に分かれていると見れば整理できます。土台になるのは「同時に1台に2人以上乗務する場合であって、車両内に身体を伸ばして休息できる設備があるとき」という条件です。
| 条件 | 最大拘束時間 | 休息期間 |
|---|---|---|
| 身体を伸ばして休息できる設備がある | 20時間まで | 継続4時間まで短縮できる |
| 設備がベッドまたはこれに準ずるもの | 24時間まで | 勤務終了後、継続11時間以上を与える場合 |
| 上に加えて8時間以上の仮眠を与える | 28時間まで | 同上 |
20時間・4時間の段は「休息を短くできる」向きの緩和、24時間・28時間の段は「拘束を長くできる」向きの緩和です。設問では、設備の条件を落として数値だけを問うか、24時間の条件である「継続11時間以上の休息期間」を落として作られます。設備の要件と休息の要件は、必ず数値とセットで覚えるのが確実です。
隔日勤務 ── 2暦日で21時間、仮眠があれば24時間
隔日勤務は、業務の必要上やむを得ない場合に、当分の間認められている勤務形態です。2暦日についての拘束時間が21時間を超えず、勤務終了後に継続20時間以上の休息期間を与える場合に限り、隔日勤務に就かせることができます。さらに、厚生労働省労働基準局長が定める施設で夜間に4時間以上の仮眠を与える場合には、2週間についての拘束時間が126時間を超えない範囲において、当該2週間について3回を限度に、2暦日の拘束時間を24時間まで延長できます。
フェリー乗船時間 ── 原則は休息期間
フェリーに乗っている時間は、原則として休息期間として扱い、改善基準告示によって与えるべき休息期間からその時間を除くことができます。ただし歯止めがあります。除いた後の休息期間は、2人乗務の場合を除き、フェリーを下船した時刻から終業の時刻までの時間の2分の1を下回ってはならない。乗船中にすべて休息を取ったことにして、下船後に長時間走らせる、という運用を防ぐための規定です。
なお、Q&Aでは、フェリー乗船中であっても運転日報の記入など使用者の指示による作業を行った時間は拘束時間に当たる、という整理がされています。乗っている時間のすべてが自動的に休息期間になるわけではありません。
同時に1台の事業用自動車に2人以上乗務する場合であって、車両内に身体を伸ばして休息できる設備があるときは、最大拘束時間を20時間まで延長し、休息期間を4時間まで短縮することができる。当該設備がベッドまたはこれに準ずるものである場合で、勤務終了後、継続11時間以上の休息期間を与えるときは最大拘束時間を24時間まで、さらに8時間以上の仮眠を与える場合は28時間まで延長することができる。業務の必要上やむを得ない場合、当分の間、2暦日についての拘束時間が21時間を超えず、かつ、勤務終了後、継続20時間以上の休息期間を与える場合に限り、隔日勤務に就かせることができる。フェリーに乗船している時間は、原則として休息期間とし、与えるべき休息期間から当該時間を除くことができる。
SECTION 2現場ではこう現れる
「2人で乗れば20時間」ではありません
現場でいちばん多い取り違えが、2人乗務の設備要件です。助手席を倒せる、後部に座席がある——これだけでは「身体を伸ばして休息できる設備」に当たりません。24時間・28時間まで延ばすには、さらにベッドまたはこれに準ずる設備が要ります。解釈通達では、この設備について長さ198センチメートル以上、かつ、幅80センチメートル以上の連続した平面であり、クッション材等により走行中の路面等からの衝撃が緩和されるものであること、という要件が示されています。車両を選ぶ段階で決まってしまう要件ですから、運用でどうにかなるものではありません。2人乗務で長時間の運行を組むなら、対象車両を特定しておく必要があります。
- ✓身体を伸ばして休息できる設備有
- ✓ベッドまたはこれに準ずる設備有
- ✓この車両で組める最大拘束時間24時間
- ✓28時間とする場合の仮眠8時間以上
- ✓勤務終了後の休息期間11時間以上
車両ごとに一度作っておけば、配車のときに迷いません。設備のない車両で20時間を組んでいないか——特例の中では、これがいちばん見つかりやすい不備です。
隔日勤務は、2週間の枠で見る
隔日勤務の管理は、日ごとではなく2週間ごとになります。126時間という枠は、21時間の勤務を6回組んだ数字です。24時間まで延ばした勤務を3回入れれば、その分ほかの勤務を短くしないと枠に収まりません。延ばせる回数と、総枠は別々にかかる——この構造は、1か月・1年の拘束時間(2-03)と同じ考え方です。
SECTION 3不備だと、何が起きるか
設備の要件を欠いた2人乗務は、原則で判定されます
特例の要件を満たさないまま特例の数値で運行していた場合、その運行は原則の基準で見られます。設備のない車両で18時間の拘束であれば、15時間を3時間超過した違反です。2人で乗っていたことは、要件を満たしていることの説明にはなりません。監査では車両の設備そのものを見られることもありますから、あとから説明を組み立てるのは難しい項目です。
フェリーについては、下船後の運行が問題になります。乗船時間を全部休息期間として除いたうえで、下船後に長時間走らせていれば、除いた後の休息期間が下船から終業までの2分の1を下回っていないかが確認されます。除ける規定には、たいてい歯止めがセットで付いている——特例を読むときの基本の姿勢です。
設備のない車両で組んだ2人乗務の運行を、設備のある車両の車番で日報に記録する。仮眠を取っていない日に「仮眠8時間」と書いて28時間の枠を使う。——車両の設備は現物を見れば分かりますし、仮眠の場所は施設の要件がかかります。特例が使えない車両・使えない勤務があるなら、そこは原則で組む。特例を使いたいのであれば、車両か施設のほうを整える。順序を逆にすると、記録の信頼まで失います。
確認の一問一答
同時に1台の事業用自動車に2人以上乗務する場合で、車両内に身体を伸ばして休息できる設備があるとき、最大拘束時間は何時間まで延長でき、休息期間は何時間まで短縮できるか。
最大拘束時間は20時間まで延長でき、休息期間は継続4時間まで短縮できます。設備がベッドまたはこれに準ずるもので、勤務終了後に継続11時間以上の休息期間を与える場合は24時間まで、さらに8時間以上の仮眠を与える場合は28時間まで延長できます。
隔日勤務に就かせることができるのは、2暦日についての拘束時間が何時間を超えず、勤務終了後に継続何時間以上の休息期間を与える場合か。
2暦日の拘束時間が21時間を超えず、勤務終了後に継続20時間以上の休息期間を与える場合です。夜間に4時間以上の仮眠を与える場合は、2週間の拘束時間が126時間を超えない範囲で、2週間について3回を限度に24時間まで延長できます。
フェリーに乗船している時間は原則として休息期間として扱われるが、これを与えるべき休息期間から除いた場合、残る休息期間について定められている下限は何か。
2人乗務の場合を除き、フェリーを下船した時刻から終業の時刻までの時間の2分の1を下回ってはならない、とされています。