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運行管理の教科書 / 第2章 改善基準告示・労働基準法 / 2-08

CHAPTER 2 ── 2-08

長距離貨物運送の特例と、分割休息
— 450キロ・16時間・8時間と、続けて9時間が取れないとき

公開 2026.09.07 内容の確認日 2026.09.07 読了目安 9分
試験 頻出第2章 特例

原則を崩す特例が四つあります。この記事ではそのうち二つ、長距離貨物運送の特例と分割休息を扱います。長距離の特例は、1週間のすべての運行が450キロ以上で住所地外での休息を伴う場合に、週2回まで拘束16時間・休息8時間まで認めるもの。分割休息は、続けて9時間の休息が取れない場合に、休息を2分割・3分割できるものです。どちらも要件が細かく、試験でも現場でも取り違えが起きます。

SECTION 1試験ではこう問われる

長距離の特例は「1週間のすべての運行が450キロ以上」から始まる

1日の拘束時間は最大15時間、休息期間は継続9時間が下限(2-04)。この原則を、宿泊を伴う長距離運送についてだけ緩めるのが一つめの特例です。拘束時間は1週間に2回に限り16時間まで、休息期間は同じく2回に限り継続8時間以上。ただし、この特例に入るための入口が狭い。

2024.04 ── 長距離貨物運送の特例
項目内容
使える条件1週間について全ての運行が長距離貨物運送(一の運行の走行距離が450キロメートル以上)であり、かつ、当該1週間について運転者が住所地以外の場所で休息期間を取ることが必要な場合
1日の最大拘束時間当該1週間について2回に限り16時間
休息期間当該1週間について2回に限り継続8時間以上
8時間としたときの条件一の運行終了後、継続12時間以上の休息期間を与える

入口の条件が二つ重なっているところが要点です。「その週の運行のうち一部が450キロ以上」では足りません。全ての運行が450キロ以上であること。そして住所地以外での休息が必要な運行であること。Q&Aでは、1週間について1回以上、住所地以外の場所での休息を伴うことが必要である、という整理がされています。ここを取り違えると、使えない週に使ってしまうことになります。

もう一つ、出口の条件も見落とされます。継続12時間以上の休息期間が要るのは、休息期間を継続8時間とした場合です。拘束を16時間まで延ばしても、休息を9時間以上取っていればこの条件は付きません。8時間の休息を挟んで走りきったなら、一の運行が終わったあとにまとめて12時間を返す、という組み立てです。

分割休息 ── 続けて9時間が取れないとき

二つめの特例が、休息期間の分割です。業務の必要上、勤務終了後に継続9時間以上の休息期間を与えることが困難な場合に、休息期間を拘束時間の途中および拘束時間の経過直後に分割して与えることができます。数値は次のとおりです。

原則 継続 9時間以上 2分割 4h 6h 1回は継続3時間以上 / 合計10時間以上 3分割 3h 4h 5h 合計12時間以上 分割できるのは、一定期間(1か月程度が限度)における全勤務回数の2分の1まで 3分割とする日が連続しないよう努めること
図 2-08-1分割は「短く刻んでよい」規定ではありません。1回3時間以上という下限と、2分割で10時間・3分割で12時間という合計の上乗せが、同時にかかります。
根拠 ── 自動車運転者の労働時間等の改善のための基準 第4条第4項第1号(要旨)

業務の必要上、勤務終了後、継続9時間以上の休息期間を与えることが困難な場合、当分の間、一定期間(1か月程度を限度とする。)における全勤務回数の2分の1を限度に、休息期間を拘束時間の途中及び拘束時間の経過直後に分割して与えることができる。この場合において、分割された休息期間は、1回当たり継続3時間以上とし、2分割のときは合計10時間以上、3分割のときは合計12時間以上でなければならない。休息期間を3分割する日が連続しないよう努めるものとする。

SECTION 2現場ではこう現れる

特例は、使う前に「使える週かどうか」を確かめるものです

この二つの特例に共通するのは、あとから当てはめるものではないという点です。長距離の特例は1週間の運行全体を見て判定しますから、週の途中で近距離の配送が1本入っただけで、その週は使えなくなります。分割休息も、一定期間の全勤務回数の2分の1という枠がありますから、月の後半になって「あと何回使えるか」を数えることになります。

実務としては、配車を組む段階でその週・その月に特例を使うかどうかを決めておき、使うと決めた週は運行の内容を崩さない——この順序が要ります。使えると思って組んだ運行が、あとから条件を欠いていたと分かると、その週の拘束時間は原則の15時間・休息9時間で判定されることになります。

長距離の特例 週ごとの確認◯月◯日の週/熊本東営業所
  • ✓その週の運行本数3本
  • ✓うち450km以上の運行3本(全て)
  • ✓住所地以外での休息2泊
  • ✓16時間拘束とした回数2回
  • ✓8時間休息とした回数2回
  • ✓運行終了後の休息期間12時間30分

「うち450km以上」が3本のうち3本であること。ここが2本になった週は、特例そのものが使えません。回数の欄と、運行終了後の休息の欄をセットで見ます。

分割休息は、車中泊の運用とセットで考える

分割休息が現実に使われるのは、目的地に早く着いてしまい、荷卸しまで待つ場面や、フェリーの待ち時間が長い場面です。このとき、待ち時間を休息期間として扱えるかどうかは、その時間が運転者の完全に自由な判断に委ねられているかで決まります(2-02)。「呼んだらすぐ動けるように待っていてくれ」という状態は、休息期間ではありません。分割休息を使うなら、いつからいつまでが休息期間かを運行指示書に書き、運転者に伝えておく必要があります。

SECTION 3不備だと、何が起きるか

特例を使ったつもりの運行が、原則で判定されます

特例の要件を欠いていた場合、その運行は原則の基準で見られます。16時間拘束は15時間超過として、8時間休息は9時間未満として、それぞれ違反になります。特例を使うという判断自体が、要件を満たしていることの主張ですから、要件を確かめた記録が残っていないと、主張のほうが崩れます。

分割休息についても同じです。全勤務回数の2分の1という枠を超えて使っていれば、超えた分は分割休息として認められません。使った回数を数えていない会社では、監査で日報から数えられて初めて分かる、ということになります。特例は、記録の負担が原則より重くなる仕組みだと考えておくのが正確です。

やってはいけない直し方

その週に短距離の運行が入っていたことを日報から落として、長距離だけの週に見せる。分割休息の回数が枠を超えたので、超えた分を通常の休息期間として記録し直す。——どちらも記録の作り替えです。特例が使えない週は、原則で組むしかありません。使えない週があること自体は問題ではなく、使えないのに使ったことにするのが問題です。週の初めに使えるかどうかを判定して、使えない週は運行の受け方を変える。順序としては、それだけです。

確認の一問一答

長距離貨物運送の特例により1日の最大拘束時間を16時間とすることができるのは、どのような場合か。

1週間について全ての運行が長距離貨物運送(一の運行の走行距離が450キロメートル以上)であり、かつ、その1週間について運転者が住所地以外の場所で休息期間を取ることが必要な場合です。回数は当該1週間について2回までで、休息期間を継続8時間以上とした場合には、一の運行終了後に継続12時間以上の休息期間を与える必要があります。

休息期間を2分割して与える場合、1回当たりの継続時間と、1日についての合計時間はそれぞれ何時間以上とされているか。

1回当たり継続3時間以上、合計10時間以上です。3分割とする場合は合計12時間以上となり、3分割する日が連続しないよう努めることとされています。

休息期間を分割して与えることができるのは、一定期間における全勤務回数のどれだけを限度とするか。また、ここでいう一定期間とはどの程度か。

全勤務回数の2分の1を限度とし、一定期間は1か月程度を限度とするとされています。

根拠自動車運転者の労働時間等の改善のための基準 第4条第1項第3号・第5号、第4項第1号/自動車運転者の労働時間等の改善のための基準の一部改正等について(令和4年12月23日 基発1223第3号)/改善基準告示(令和6年4月1日適用)に関するQ&A(厚生労働省)
確認本記事は告示・通達および厚生労働省の公表資料にもとづき作成し、記載の確認日時点の制度を反映しています。改善基準告示の運用は解釈通達とQ&Aで補われており、個別の運行がどの規定にあたるかは事案ごとに判断が必要です。実際の運行計画づくりの際は最新の通達および労働基準監督署・運輸支局の案内をご確認のうえ、個別の判断は必ずご相談ください。

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長距離の特例と分割休息は要件が細かい規定です。運行計画と日報を拝見し、実態と合っているかをお伝えします。 運送業の帳票点検・巡回指導対応・顧問を、お引き受けしています。

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