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運行管理の教科書 / 第2章 改善基準告示・労働基準法 / 2-02

CHAPTER 2 ── 2-02

拘束時間・休息期間・運転時間
— 三つの言葉の定義と、数え方

公開 2026.09.07 内容の確認日 2026.09.07 読了目安 8分
試験 頻出第2章 しくみ

改善基準告示の設問は、数値を覚えていても言葉の定義がずれていると落とせます。拘束時間は労働時間と休憩時間の合計、休息期間は勤務と勤務のあいだの自由な時間、運転時間はハンドルを握っていた時間。そして「1日」は暦日ではなく始業時刻から24時間、「2日」は始業時刻から48時間です。この四つの定義が、あとの章のすべての計算の土台になります。

SECTION 1試験ではこう問われる

拘束時間は「始業から終業まで」、休息期間は「勤務と勤務のあいだ」

改善基準告示の問題は、数値を覚えていれば解けるものばかりではありません。むしろ落としやすいのは、言葉の定義がずれているために計算の入口を間違える設問です。まず三つの言葉を、通達の文言のまま持っておきます。

KEY TERMS ── 三つの言葉
言葉意味まぎらわしいもの
拘束時間労働時間と休憩時間(仮眠時間を含む)の合計時間。すなわち、始業時刻から終業時刻までの、使用者に拘束される全ての時間点呼、会議、荷積み・荷卸し、日報の記入。すべて拘束時間に入る
休息期間使用者の拘束を受けない期間。勤務と次の勤務とのあいだにあって、その処分が労働者の全く自由な判断に委ねられる時間休憩時間・仮眠時間とは本質的に別のもの。これらは拘束時間の中にある
運転時間実際に運転していた時間。2日を平均して1日あたり、2週間を平均して1週間あたりで見る(2-05)拘束時間の一部。荷待ちや荷役は運転時間ではないが拘束時間には入る

この三つは入れ子になっています。拘束時間の中に労働時間があり、労働時間の中に運転時間がある。そして拘束時間の外側に休息期間がある。休憩は「拘束時間の中の自由な時間」、休息期間は「拘束時間の外の自由な時間」。同じ「休む」でも、どちらの側にあるかで扱いがまるで違います。

根拠 ── 自動車運転者の労働時間等の改善のための基準の一部改正等について(令和4年12月23日 基発1223第3号)(要旨)

拘束時間とは、労働時間と休憩時間(仮眠時間を含む。)の合計時間、すなわち、始業時刻から終業時刻までの使用者に拘束される全ての時間をいう。休息期間とは、使用者の拘束を受けない期間であり、勤務と次の勤務との間にあって、その処分が労働者の全く自由な判断に委ねられる時間をいう。

「1日」は暦日ではありません

もう一つの土台が、期間の数え方です。改善基準告示でいう「1日」とは、始業時刻から起算して24時間。「2日」は始業時刻から起算して48時間です。暦日(0時から24時まで)ではありません。ここを暦日で数えると、1日の拘束時間も2日平均の運転時間も、答えがずれます。

この定義がいちばん効いてくるのが、翌日の始業が当日より早いときです。月曜8時始業・21時終業の勤務(13時間)のあと、火曜は6時始業。月曜の始業時刻から24時間の中に、火曜の6時から8時までの2時間が入り込みます。この2時間は月曜の拘束時間に足されて、月曜の1日の拘束時間は13時間ではなく15時間になります。

月曜 8:00 の始業から起算した「1日」=24時間 8 10 12 14 16 18 20 22 0 2 4 6 8 月曜の勤務 8:00 → 21:00 13h 休息期間 21:00 → 翌6:00 9h 2h 火曜 6:00 始業 +2h 火曜の始業が当日より早い分は、月曜の拘束時間に加わる 月曜の「1日」の拘束時間 = 13h + 2h = 15h(最大拘束時間ちょうど)
図 2-02-1「1日」は始業時刻から24時間。翌日の始業が早いほど、当日の拘束時間が膨らみます。連続する早出は、それだけで上限に触れます。

SECTION 2現場ではこう現れる

「休憩2時間」と書かれた日報が、拘束時間を短くはしません

現場でいちばん多い取り違えが、休憩を長く書けば拘束時間が減る、という誤解です。減りません。休憩は拘束時間の中にありますから、8時に出て21時に戻れば、途中で何時間休んでいても拘束時間は13時間です。減るのは労働時間であって、拘束時間ではない。改善基準告示の枠を守るために動かせるのは、出庫と帰庫の時刻——つまり運行計画そのものです。

もう一つ、荷待ちの時間を「休憩」として日報に書かせている例があります。荷主の指定した場所で、いつ呼ばれるか分からない状態で待っている時間は、自由な判断に委ねられているとは言えません。これは休憩でも休息期間でもなく、拘束時間です。書き方を変えても実態は変わりませんし、業務記録の荷待ち欄(1-11)と食い違えば、記録全体の信頼が落ちます。

拘束時間の拾い方(日報から1日分)◯月◯日/車番 熊本100か◯◯◯◯
  • ✓点呼(乗務前)の時刻=始業05:40
  • ✓出庫06:00
  • ✓うち 荷待ち(拘束時間に入る)1時間40分
  • ✓うち 休憩(拘束時間に入る)1時間00分
  • ✓帰庫18:30
  • ✓点呼(乗務後)終了=終業18:50

始業は出庫ではなく点呼から、終業は帰庫ではなく乗務後点呼の終了まで。この日の拘束時間は13時間10分。点呼の時刻を書かない日報だと、20分ずつが毎日消えていきます。

休息期間は「与える」もの、休憩は「与える」もの——主語は同じです

休息期間は運転者が勝手に取るものではなく、事業者が与えるものです。したがって、運行計画を立てる段階で休息期間が確保されているかを見ておく必要があります。帰庫が21時、翌日の出庫が5時なら、休息期間は8時間しかありません。9時間を下回りますから、この2日は組めない。配車の段階で判断できる形にしておくことが、事後に集計して超過を知るより、はるかに実務的です。

SECTION 3不備だと、何が起きるか

定義がずれていると、集計そのものが使えません

拘束時間の集計表を作っている会社でも、始業を出庫時刻で取っている、荷待ちを除いている、翌日の早出分を足していない——このいずれかで、実際より短い数字が出ていることがあります。監査で提出したあとに、日報と運行記録計から組み直されて超過が判明する、という順序がいちばん厳しい。自社の集計が甘い方向にずれていると、超過を早く知る機会そのものを失います。

もう一つは、運転者への説明です。「今月はあと何時間まで働ける」という話を数字でできるかどうかは、定義が揃っているかどうかにかかっています。人によって数え方が違えば、同じ日報から違う数字が出ます。定義を合わせることは、管理のためであると同時に、社内の会話を成り立たせるためのものでもあります。

やってはいけない直し方

拘束時間を短く見せるために、荷待ちを休憩として書かせる。点呼の時刻を出庫時刻と同じにして20分を消す。——どちらも記録の作り替えです。荷待ちは業務記録に別途記録する義務があり(1-11)、点呼の時刻は点呼記録簿に残っています。突き合わせれば必ず食い違いが出ますし、食い違いが出た時点で、他の記録も疑われます。短く見せるのではなく、実際に短くする方法を探すほうが、結局は早い。

確認の一問一答

改善基準告示における拘束時間とは、労働時間から休憩時間を除いた時間をいう。○か×か。

×。拘束時間は労働時間と休憩時間(仮眠時間を含む)の合計時間、すなわち始業時刻から終業時刻までの使用者に拘束される全ての時間です。休憩を長く取っても拘束時間は減りません。

改善基準告示における「1日」とは、何を指すか。

始業時刻から起算して24時間をいいます。暦日ではありません。同様に「2日」は始業時刻から起算して48時間です。

ある運転者が月曜日は8時始業・21時終業、火曜日は6時始業であった。月曜日を起算日とする1日の拘束時間は何時間か。

15時間です。月曜8時から24時間(=火曜8時まで)の中に、火曜6時から8時までの2時間が含まれるため、月曜の勤務13時間に2時間を加えます。最大拘束時間15時間ちょうどで、これを1分でも超えれば違反になります。

根拠自動車運転者の労働時間等の改善のための基準 第1条・第4条/自動車運転者の労働時間等の改善のための基準の一部改正等について(令和4年12月23日 基発1223第3号)/改善基準告示(令和6年4月1日適用)に関するQ&A(厚生労働省)
確認本記事は告示・通達および厚生労働省の公表資料にもとづき作成し、記載の確認日時点の制度を反映しています。改善基準告示の運用は解釈通達とQ&Aで補われており、個別の運行がどの規定にあたるかは事案ごとに判断が必要です。実際の運行計画づくりの際は最新の通達および労働基準監督署・運輸支局の案内をご確認のうえ、個別の判断は必ずご相談ください。

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日報の休憩欄と拘束時間の集計を突き合わせて拝見し、数え方のずれをお伝えします。 運送業の帳票点検・巡回指導対応・顧問を、お引き受けしています。

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