役員法令試験 ── H-04
不合格だったときの動き方
— 止まるのは試験ではなく、開業の日程です
法令試験は、許可申請の手続の中に組み込まれています。ですから不合格は「もう一度受ければよい」では終わりません。審査が止まり、開業の日程が後ろにずれ、車庫の賃料と人の予定が動きます。この記事では、結果が出た翌日から何をするかを、原因の切り分けと日程の立て直しの二つに分けて書きます。まず落ち着いて、順番に。
SECTION 1止まるのは、どこか
試験は、申請から許可までの途中に置かれています
新規許可の流れの中で、法令試験は申請を出したあと、審査の途中にあります。合格して初めて審査が先へ進む仕組みなので、不合格になるとその先の工程がすべて待たされます。動かないのは試験だけで、止まるのは日程のほうです。
受験の機会が何回あるか、いつ受けられるか、二回目も不合格だった場合に申請がどう扱われるか、そして改めて申請できるのはいつか——これらはすべて運輸局が定める実施要領によります。制度の形は役員法令試験の対策ガイドにまとめていますが、数字を覚えておくものではなく、自社の申請の前に確認して、紙に書いておくものです。下の表を、確認した内容で埋めてください。
- □受験できるのは誰か(常勤役員のうち、どなたが受けるか)
- □実施の時期(申請のあと、いつ受けることになるか)
- □出題数・出題形式・試験時間・合格基準
- ■受験の機会は何回か。使い切った場合、申請はどうなるか
- ■改めて申請できるのは、いつからか
- □条文集の貸与・持込みの取扱い(付箋・インデックスの可否)
朱の二行が、日程に直結します。ここだけは、申請を出す前に確認しておいてください。当事務所でご依頼をお受けする場合は、この表を埋めたものを最初にお渡ししています。
SECTION 2結果が出た翌日に、やること
「勉強不足」で片づけない。落ちた理由は三つに分かれます
もう一度同じ勉強をやり直すのは、いちばん効率の悪い立て直し方です。落ちた理由は、たいてい次の三つのどれかで、対処法がまったく違います。試験の記憶が残っているうちに、自分がどれだったかを決めてください。
その日のうちに、開いた条文を書き出す
試験中に迷った設問、開いたページ、探したのに見つからなかった条文。これらはその日を過ぎると思い出せなくなります。会場を出たら、覚えている範囲で書き出してください。この一枚が、次の準備でいちばん役に立つ教材になります。何を勉強するかを決めるための材料が、自分の記憶しかないからです。
受ける人を変える、という選択肢もあります
受験できるのは常勤の役員の方です。複数の役員がいらっしゃる会社では、誰が受けるか自体が判断の対象になります。条文を読み慣れている方、時間を確保できる方、当日の体調が読める方。一人目が不合格だった場合に、二人目に切り替えられるかどうかは実施要領の取扱いによりますので、この点も含めて早めにご確認ください。
SECTION 3日程を、どう立て直すか
先に動かせるものと、待つしかないものを分けます
不合格の連絡を受けた日にやることは、勉強の計画より先に、関係先への連絡です。車庫の賃貸借契約、車両の納期、採用した運転者の入社日、荷主に伝えた開始時期。このうち、待ってもらえるもの、契約を組み替えられるもの、費用が発生し続けるものを分けます。いちばん高くつくのは、何も言わないまま時間が過ぎることです。
そして、この期間は無駄な待ち時間ではありません。開業後に必要になる帳票——点呼記録簿、業務記録、運転者等台帳、教育の年間計画——の様式を先に整えておけば、許可が下りた日から運用を始められます。試験で読んだ条文が、そのまま帳票の形になります。準備の順番が入れ替わっただけだと考えて、手を動かせるところを進めておくのが現実的です。
不合格を受けて、別の会社の名義や、他の方の名前で申請をやり直す——これは名義の利用等の禁止(1-04)に触れるおそれのある行為です。許可を受ける主体と、事業を実際に経営する者は一致していなければなりません。日程が苦しいときほど、この線は越えないでください。
確認の一問一答
法令試験に不合格だった場合、申請そのものはどうなるか。
受験の機会には限りがあり、機会を使い切った場合の申請の取扱い(取下げ・却下)と、改めて申請できる時期は、運輸局が定める実施要領によります。数字を覚えるのではなく、申請の前に九州運輸局の案内で確認し、社内で共有しておいてください。
不合格の原因を切り分けるとき、まず何を確かめるか。
「どこにあるか分からなかった」のか、「引けたが語尾・数字・主体・期限を落とした」のか、「分かっていたが時間が足りなかった」のかの三つです。対処法がまったく違うので、記憶が残っているその日のうちに決めます。
次の試験までの期間に、勉強以外で進めておけることは。
開業後に使う帳票の様式づくりです。点呼記録簿、業務記録、運転者等台帳、年間の教育計画。試験で読む条文が、そのまま帳票の形になります。許可が下りた日から運用を始められる状態にしておけば、遅れの一部を取り戻せます。